尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により、性器や肛門周囲にイボ状の病変ができる性感染症です。男女ともに感染する可能性があり、性行為で感染が広がります。
この記事では、尖圭コンジローマの治療法や治療にかかる期間、治療費について解説します。尖圭コンジローマは、適切な治療を行えば症状を軽減させることが期待できます。
感染が疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
目次
尖圭コンジローマとは?性器の周囲にイボができる病気
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により、性器や肛門の周囲にイボのような病変ができる性感染症です。男性、女性ともに感染する可能性があり、性行為によって感染が広がります。
初期症状としては、性器や肛門の周りに米粒大のイボが複数できることが多いです。イボは徐々に大きくなり、カリフラワー状になることもあります。痛みやかゆみを伴う場合もありますが、自覚症状のない場合も少なくありません。
潜伏期間が長く、イボ以外の自覚症状が少ないため、尖圭コンジローマの発症に気づかないケースも少なくありません。しかし、感染するとHIVの感染リスクが高まる可能性も示唆されています。
尖圭コンジローマの感染が疑われる場合は、速やかに医療機関で診断を受けましょう。女性の場合は婦人科、男性の場合は泌尿器科あるいは皮膚科で診断・治療を保険診療で受けられます。
尖圭コンジローマの完治までの期間は1〜3ヶ月
尖圭コンジローマの治療期間は、外科療法の場合は1~2ヶ月程度、薬物療法の場合は2~3ヶ月程度で症状が改善し、治療が終了することが多いです。しかし、尖圭コンジローマは再発がしやすい感染症です。
治療と再発を繰り返し、半年~1年ほどかかる場合もあります。特に、免疫力が低下している方や、喫煙者の方は再発のリスクが高いと言われているので注意しましょう。
尖圭コンジローマの治療法は「外科療法」と「薬物療法」の2種類
尖圭コンジローマの治療法には、外科療法と薬物療法の2種類があります。外科療法ではイボを電気メスやレーザーで切除する一方、薬物療法では軟膏を塗布します。
そこでここでは、アプローチの異なる複数の治療法をそれぞれ解説していきます。
尖圭コンジローマに対する3つの外科療法
外科療法は、尖圭コンジローマの代表的な治療法の一つです。皮膚にできたイボを物理的に除去する治療法です。
基本的には局所麻酔下で日帰り手術を行うことができ、術後の経過も良好な場合が多いです(※術前の検査・術後の経過観察が必要です)。3つの外科療法があるため、以下で詳しく解説します。
【凍結療法】-196℃の液体窒素でイボを排除
凍結療法は、液体窒素を用いてイボを凍結し、壊死させる治療法で、麻酔を使わずに行います。-196℃の超低温の液体窒素をイボに直接当てることで、イボの組織を破壊し脱落させます。
手術は数分程度で終了するため、基本的には日帰りで行うことができます(※術前の検査・術後の経過観察が必要です)。
ただし、尖圭コンジローマのウイルスは、イボの組織だけでなく皮膚や粘膜にも存在しています。そのため、治療によって完治するわけではなく、治療後も再発する可能性もあります。
また、イボを切除した部分に傷跡が残るケースがあります。
【切除術】イボを切除し周囲を電気メスで焼灼
切除術は、メスを用いてイボを切り取る治療法です。イボを切除した後、周囲の組織も電気メスで焼灼します。手術は局所麻酔下で行われ、15分〜30分程度で終了します。
切除術も凍結療法と同様、ウイルスに直接働きかける治療法ではないため、一定の再発リスクがあります。
【レーザー蒸散】炭酸ガスレーザーで蒸散
レーザー蒸散は、炭酸ガスレーザーを用いてイボを蒸散させる治療法です。レーザーを照射することで、イボの組織を気化させ、除去します。手術は局所麻酔下で行われ、15分〜30分程度で終了します。
切除術と同様、レーザー蒸散にも一定の再発リスクがあります。
外科療法におけるリスク・副作用 | 痛み:治療中や治療後に痛みを感じることがあります。 出血:手術後に出血が起こることがあります。 感染のリスク:治癒過程で感染が起こる可能性があります。 |
尖圭コンジローマに対する2つの薬物療法
尖圭コンジローマに対する治療法の一つに、薬物療法があります。外科療法と比べて身体への負担が少なく、比較的簡便に行うことができるのが特徴です。
ここでは2種類の薬物療法を解説します。
【イミキモドクリーム】局所の免疫力を活性化し自己治癒力を高める
イミキモドクリームは、尖圭コンジローマの局所療法で用いられる代表的な薬剤の一つです。イミキモドという成分には、局所の免疫力を活性化し、自己治癒力を高める働きがあります。
治療にかかる期間は症状や個人差によりますが、一般的に16週間が目安と言われています。
【トリクロロ酢酸溶液】イボに塗布し壊死させる
トリクロロ酢酸溶液は、尖圭コンジローマの局所療法で古くから用いられている薬剤です。高濃度の酢酸を綿棒などに浸して、イボに直接塗布することで、イボを壊死させる働きがあります。
比較的小さいイボに有用だと言われています。ただし、皮膚や粘膜が潰瘍を作る可能性があるため、イボに塗布した後は水で洗い流す必要があります。
トリクロロ酢酸溶液を用いた治療は、一般的に数週間かけて行います。
薬物療法におけるリスク・副作用 | 皮膚の炎症:発赤、腫れ、痛み、かゆみが現れることがあります。 |
尖圭コンジローマの治療にかかる治療費は?
尖圭コンジローマの治療費は、治療法や医療機関、保険適用の有無などによって異なります。
ここでは、保険適用の場合と自由診療の場合に分けて、治療費の目安を説明します。
保険適用の場合:1,500円〜5,500円の範囲が目安
尖圭コンジローマは、原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が検査により証明された場合、保険適用の対象となります。
保険適用の場合、治療費の窓口での自己負担額は3割(住民税非課税世帯は1割、70歳以上75歳未満の方は2割)で、残りの治療費用は公的医療保険から支払われます。
ただし、選ぶ治療法によってかかる費用も異なります。外科療法の場合は4,000円〜5,500円、薬物療法の場合は、1,500円〜2,000円が目安です。
自由診療の場合:医療機関にもよるが10,000円〜20,000円程度
尖圭コンジローマの治療は、感染の証明がない場合や、美容目的の場合は自由診療となります。
症状の程度や治療方法によって費用は異なりますが、医療機関にもよるものの、1回あたり10,000円〜20,000円程度が目安となるでしょう。
自由診療では、治療費用が全額自己負担となるため、保険適用の場合と比べて治療費が高額になる傾向があります。
尖圭コンジローマの治療に関するよくある質問
尖圭コンジローマの治療中の性行為で感染しない?
尖圭コンジローマは、性行為によって感染が広がるため、治療中の性行為には十分な注意が必要です。男女共に、治療部位に直接触れるような性行為は避けるべきでしょう。
コンドームを使用しても感染を完全に防ぐことはできない?
コンドームを使用することで、尖圭コンジローマの感染リスクを大幅に下げることができます。ただし、コンドームで覆われていない部分からの感染は防ぐことができないため、完全に感染を防ぐことはできません。
まとめ:尖圭コンジローマは再発リスクも考慮に入れよう
尖圭コンジローマは、症状の長期化や再発しやすい感染症です。そのため、感染が疑われる場合は、速やかに医療機関で検査を受けることが大切です。
治療法には、外科療法と治療療法の2種類があります。担当医に相談しながら症状に合った治療法を選んでもらいましょう。