最近、睡眠の質に満足していますか?
この記事では、不眠症のサインを自分でチェックする方法や不眠症になってしまう原因など、睡眠に関する疑問を解決するための情報を紹介します。
もし不眠の兆候を感じているならぜひ参考にして、質の良い睡眠を取り戻しましょう!
目次
不眠症セルフチェック!今すぐ受診した方が良い睡眠障害の2つの症状
不眠症とは、睡眠の質や時間が十分でなく、日中の活動に支障をきたす状態を指します。
不眠症かもと感じたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。ここでは、特に注意してチェックしたい2つの症状を紹介します。
①睡眠状態が原因で身体的な不調や日常生活に支障が出ている
なかなか寝付けない、寝てもすぐに目覚めてしまうなど、睡眠状態が原因で、身体的な不調や日常生活に支障が出ている方は要注意です。
不眠症の一番の問題点は、ただ単に眠れないことだけではありません。むしろ、その後の日中の眠気や気分の低下、そして身体的な不調が生じることです。
日常生活動作がある程度こなせれば深刻な不眠症ではない
三島和夫. 高齢者の睡眠と睡眠障害. 保健医療科学, 2015, 64: 27-32.
②週3回以上の不眠が1ヶ月以上継続している
週3回以上の不眠が1ヶ月以上継続している場合にも注意が必要です。
不眠が続くと身体的・精神的な健康に大きな影響を及ぼす可能性が高まります。生活の質が低下し、仕事や家庭での問題が増える可能性もあるので注意しましょう。
不眠症が長期 (数ヶ月以上)にわたり持続すると,交感神経緊張や視 床下部-下垂体-副腎皮質系機能の亢進など生理的過覚 醒と呼ばれる状態に陥るため不眠が重症・難治化するこ とが知られている.
三島和夫. 高齢者の睡眠と睡眠障害. 保健医療科学, 2015, 64: 27-32.
【不眠症とは】不眠症の4つのタイプを解説
不眠症とは、一般的には睡眠の質や時間が十分でない状態を指しますが、その背後にはさまざまな原因や症状が存在します。
ここでは、不眠症の具体的なタイプを4つに分けて、それぞれの特徴や原因を詳しく解説していきます。あなたが感じている不眠の悩みは、どのタイプに当てはまりますか?
その中でもっとも数が多いのが不眠症で、入眠困 難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害が主な症状で、 これらの症状がいくつか重なって見られることが普通である。
遠藤拓郎. 睡眠障害. 総合健診, 2018, 45.2: 352-358.
①なかなか寝付けない「入眠障害」
入眠障害とは、布団に入ってもなかなか眠りにつけない状態を指します。この症状は、日中のストレスや過度なカフェインの摂取、夜間の過度な活動などが原因となることが多いです。
②途中で何度も目が覚める「中途覚醒」
中途覚醒は、夜中に何度も目が覚める症状を指します。夜中にトイレに起きることが多い場合、アルコールの影響を疑うことも大切です。
③起床予定時刻よりも2時間以上も早く起きる「早朝覚醒」
早朝覚醒は、普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまう状態を指します。高齢者に多く見られるもので、生活リズムの乱れや、うつ病の症状としても現れることが多いです。
また、過度なストレスや不安感が原因となり、深い眠りからの覚醒を引き起こすことも。このため、改善には日常生活の見直しやリラックス方法を取り入れることが効果的です。
④睡眠時間は十分取ったのに眠気が取れない「熟眠障害」
熟眠障害は、十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、日中に強い眠気や疲れが続く状態を指します。
夜間の睡眠が深くなく、質の良い睡眠を得ることができていない可能性があります。しっかりとした時間を確保して眠っても、十分な休息を得られない点も特徴です。
原因をチェック!不眠症の4つの原因
ここでは、不眠症の原因を4つ解説します。
不眠症を改善に導くためにも、当てはまる原因を考えてみましょう。
①体調が悪くて眠れない「身体的要因」
身体的要因で不眠症になっているケースは、風邪やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの慢性的な病気による症状、あるいは身体的な痛みなど、体の不調が原因で眠りにつけない状態です。
単なる睡眠不足ではなく、深刻な健康問題のサインかもしれません。
②寝室の暑さや寒さで眠れないなどの「環境的要因」
環境的要因で不眠症になっているケースは、寝室の温度や湿度、騒音など、外部の環境が原因で寝つきが悪くなるか、眠りが浅くなる状態です。
環境的要因の場合には、快適な睡眠環境を整えることが不眠解消の鍵となります。
③ストレスや悩みがあって眠れない「精神的要因」
精神的要因で不眠症になっているケースは、日常のストレスや悩み、うつ病や不安などの精神的な問題で眠りが浅くなっている状態です。
仕事や家庭の悩み、人間関係のトラブルが心の中に重くのしかかり、気分が落ちることがあります。精神科を受診し適切なカウンセリングを受けたり、リラックス方法を取り入れることが効果的です。
④飲酒や喫煙などの「生活習慣的要因」
生活習慣的要因で不眠症になっているケースは、日常の飲酒やアルコールの摂取、カフェインを多く含む飲み物の過度な摂取など、生活習慣が眠りを妨げ、覚醒を引き起こす状態です。
健康的な生活習慣を心がけることで、質の良い睡眠を取り戻すことができるでしょう。
病院で受けられる不眠症の治療法
不眠症は、多くの方が一度は経験することのある症状です。しかし、その原因や症状の度合いは人それぞれ異なるため、適切な治療を受けることが大切です。
ここでは、病院での主な治療法を2つのカテゴリに分けて、解説していきます。
【薬物療法】睡眠薬などの投与
薬物療法は、不眠症の症状を和らげるための薬を使用する方法としてクリニックで採用されています。
主に睡眠薬が処方されることが多く、即効性があるものから持続性のあるものまでさまざまです。ただし、長期間の使用や過剰な摂取は依存の原因となることもあるため注意が必要です。
【非薬物療法】生活習慣の改善指導
非薬物療法は、薬を使用せずに不眠症の症状を改善する方法です。生活習慣の見直しからリラクゼーション法、ストレス管理に至るまでの治療が考慮されます。
定時に起床する、カフェインの摂取を控える、リラックスできる環境を作るなどの生活習慣の改善も効果的です。
自宅でできる不眠症の対処法6選
ここでは、自宅でできる簡単な6つの不眠症の対処法をご紹介します。
日常生活で取り入れやすいものばかりなので、病院に行く前に試してみましょう。
①就寝・起床時間を一定にする
就寝時間と起床時間を一定のリズムにすることは、体内時計や睡眠の質を整えるうえで非常に重要です。毎日同じ時間に眠りにつき、同じ時間に起きることで、自然と眠りの深さが増します。
しかし、なかなか眠れない場合は無理せず1度ベットから出るようにしましょう。
また、週末だけ遅くまで起きているなどするとリズムが乱れ、翌日の眠気が増してしまうので注意が必要です。
就寝時刻が一定であることが、寝つきの良さや睡眠の質に良い 影響を及ぼすことが示唆された。
城佳子. 大学生の睡眠習慣と睡眠感・精神的健康との関連. In: 日本健康心理学会大会発表論文集 32. 一般社団法人 日本健康心理学会, 2019. p. 151.
②適度に運動をする
運動は、体を動かすことで血行を良くし、ストレスを解消する効果があります。夕方に軽いジョギングやウォーキングをすると、夜の質の良い睡眠に繋がるだけでなく、日中の活動力も向上するでしょう。
ただし、過度な運動や就寝前の運動は逆効果となることもあるため、軽いジョギングやウォーキング、サイクリングなどの有酸素運動を30分〜1時間程度行いましょう。
運動の継続的な実施が睡眠の維持改善に有効であることや適度な運動が入眠促進および徐波睡眠の増加をもたらすことが示唆されている
永松俊哉; 甲斐裕子. 低強度のストレッチ運動が軽度睡眠障害者の睡眠およびストレス反応に及ぼす影響. 体力研究, 2014, 112: 1-7.
③ストレス解消法を身に着ける
ストレスは不眠の大きな原因となり、不安や日常の悩みが積み重なると眠りの質が低下します。
そこで、リラクゼーションや瞑想、深呼吸などの方法を活用して、これらのストレスを解消することが重要です。
さまざまな心理社会的ストレスが誘因となって緊張が 高まり不眠が出現する
三島和夫. 高齢者の睡眠と睡眠障害. 保健医療科学, 2015, 64: 27-32.
④寝る前の飲酒やコーヒー摂取を控える
アルコールやカフェインは、一時的にリラックス効果があるように感じられるものの、実は質の良い睡眠を妨げ、夜間の覚醒を引き起こす原因となります。特に、寝る前の摂取は避けるよう心がけましょう。
入眠飲酒 は「就眠困難」「熟眠困難」「夜間覚醒」に関連するとい う結果を得た
足達淑子, et al. 人間ドック受診者における問題飲酒および入眠のための飲酒と睡眠問題との関連. 保健医療科学, 2014, 63.1: 39-47.
⑤日中に太陽の光を浴びる
太陽の光は体のリズムを整える効果があり、日中外に出て太陽の光を浴びると夜間の良好な寝つきや深い睡眠が得られやすくなります。特に、午前中の光を浴びることはおすすめです。
睡眠を促すホルモンであるメラトニン は,日中の光曝露が多いほど夜間に高濃度に分泌され る.日中に十分な光を照射することは極めて重要であり,積極的に外出させることや,あるいは太陽光の当 たる部屋で日中を過ごさせることが睡眠の全般的改善 につながり得る.
志村哲祥; 高江洲義和. 1. 高齢者不眠の病態と対応. 日本老年医学会雑誌, 2017, 54.3: 323-328.
⑥寝室や寝具を快適に整える
寝室の環境や寝具の質は、睡眠の質に大きく影響する要因となります。部屋の温度や湿度、寝具の柔らかさなど、自分に合った環境を整えることが必要です。
衣服や寝具を用いた場合,睡眠に影響を及ぼさない温度の上限は 28℃と言われる.しかし,高齢者では 27.7℃でも睡眠が 妨げられており,年齢を考慮する必要がある.
水野一枝. 環境温湿度と睡眠. 睡眠口腔医学, 2016, 2.2: 89-93.
不眠症に関するよくある質問
何科を受診したら良いですか?
身体的な問題が疑われる場合や、精神科への受診が難しいときは、内科やかかりつけの医師に相談するのが良いでしょう。
もし、心の悩みやストレスが原因と考えられる場合は、精神科や心療内科への受診がおすすめです。また、いびきや無呼吸が気になる方は耳鼻咽喉科や呼吸器内科を、中学生以下のお子さんは耳鼻咽喉科や小児科への受診も良いでしょう。
不眠症と睡眠不足の違いは?
不眠とは、布団に入ってもなかなか眠りにつけない、または夜中に何度も目を覚ましてしまうような状態の事です。
対して睡眠不足は、睡眠の質自体には問題がないものの、十分な時間眠れていないことを意味します。
睡眠時間は何時間が理想ですか?
人それぞれの理想的な睡眠時間は異なりますが、小学生はおおよそ10時間、20歳までの若者は約7.5時間、そして20歳を超える大人は7時間程度がいいといわれています。
まとめ:不眠症を疑ったらまずはセルフチェック!不調をきたしている場合はすぐに病院へ受診しよう
不眠症の疑いがある場合、まずはセルフチェックを行いましょう。ただ、不眠症の症状や原因は人それぞれ異なるため、一般的な情報だけでなく、適切な専門家の意見も取り入れることが大切です。
今回の情報を参考に、自分の睡眠の質を向上させるための第一歩を踏み出してみてくださいね。