喀血、血たん 家庭の医学

 喀血(かっけつ)は呼吸器からの出血で、ふつうは赤またはピンク色で泡っぽい性状です。しかし、大量に喀血して、吐血(とけつ)と区別がつきにくい場合もあります。また、血が気管支にすこしたまってから出ると、黒褐色(かっしょく)のかたまりになります。
 むかしは、喀血といえば肺結核の症状でしたが、最近では肺がんの喀血、特にたんの中に赤線状にまじる血液が、早期診断に大切な徴候です。わずかの血たんは、咽頭(いんとう)炎、喉頭(こうとう)炎などでもみられます。
 気管支拡張症、肺吸虫症、肺の損傷でも、時に喀血します。大動脈瘤(りゅう)が肺や気管支に破裂すると大出血し、大量に喀血すると窒息しかねません。

■喀血、血たん
症状病名そのほかの症状など
発熱を伴う急性咽頭炎のどの痛み、せき
急性喉頭炎のどの痛み、声がれ、せき
肺結核疲れやすい、食欲がない、息切れ、せき、体重減少、寝汗、微熱
発熱なし気管支がんせき、声がれ
肺がんせき、胸痛、やせ
気管支拡張症大量のたん、慢性のせき


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹