老年期の急性の症状〔ろうねんきのきゅうせいのしょうじょう〕 家庭の医学

■意識障害
 急激に意識障害が起こることがあります。その原因にはさまざまなものが考えられます。
 脳血管障害:急速に起こる(特に早朝?午前)、まひの合併がない場合もある(からだを動かせても油断しない)
 硬膜下血腫:転倒、頭部打撲から2週間後くらい徐々に起こる。頭をうったことがわからない場合も多い。
 睡眠薬の影響:朝起きてこない、もうろうとしている、処方された薬が変わった、薬を自分で管理している、薬の処方日数分が足りない。
 飲酒の影響:酒を飲んだ翌日に起こる意識障害は、すこしずつよくなれば見守っていてもよいが、続くときには注意が必要。脳血管障害との区別は家族には困難。
 血圧低下:脈が触れない、手足が冷たい、処方が変わったなど。救急車を要請。
 低血糖:インスリン注射している、最近管理がよいと褒められたなど。冷や汗、空腹など。コーラを飲ませてみる。
 熱中症:体温高い(39℃以上)、けいれん、舌や皮膚の乾燥。頸(けい)部、わきのしたを冷やし、救急車を要請。
 なお、自宅で長期の療養中徐々に食欲低下、意識低下がきた場合には、かかりつけ医の先生に相談して、最終段階(終末期)に起きる症状であれば、そのまま看取ることが大切です(救急要請しない)。

(執筆・監修:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 理事長/国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐 鳥羽 研二)
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