子宮内避妊用具(IUD)/子宮内避妊システム(IUS) 家庭の医学

経口避妊薬(OC)とならんで成功率の高い避妊法です。近年、IUDとしては、銅を付加したタイプが用いられます。また、IUSは黄体ホルモンが付加されており、黄体ホルモンを連日子宮内に放出するシステムです。
 銅付加IUDは子宮内に小さな用具を挿入することにより、精子の運動性を低下させて精子と卵子の受精を抑制することがおもな避妊機序ですが、受精卵の着床をさまたげることによっても避妊効果を発揮します。
 IUSはIUDと同様に小さな用具を子宮内に挿入します。用具に付加された黄体ホルモンが子宮内局所に連続的にはたらき、子宮内膜の増殖(厚くなること)を強力に抑制して受精卵の着床をさまたげることが大きな避妊機序ですが、さらに頸管粘液にはたらき、粘液の性状を変えて精子の子宮内への進入を抑制することによっても避妊効果を発揮します。
 両用具ともに、月経の最中に産婦人科で挿入してもらい、次の月経終了後、すなわち挿入から1~2カ月後に、もう一度診察を受けます。そのあと1年に1回正しい位置にIUD/IUSが留置されているか医師のチェックを受けます。費用は、IUDは1万5000~3万円くらい、IUSは3万~6万円くらいです。
 長所は避妊効果が高く、毎日避妊を気にせずに安心して性交がもてること、一度装着すると5年くらい避妊効果が持続することです(医師の診察は年1回必要)。また、IUSでは、月経痛は軽減され、月経血量が少なくなって貧血のある人はこれも改善されます。
 短所としては、
 1.子宮内に器具を入れるため、妊娠・出産経験のない人には挿入するときに軽い痛みや違和感があること(挿入後には消失)
 2.IUDでは月経血量がやや多くなるなどの可能性があること
 3.IUSでは長期的には月経血量はきわめて少なくなるが、装着後2~4カ月はごく少量の出血が断続的にみられる可能性があること
 4.過去に骨盤内感染症にかかったことのある人や、双角子宮(そうかくしきゅう)や粘膜下筋腫などの子宮のかたちに問題のある人には向かないこと
などです。医師に相談するとよいでしょう。

[適する人]
 出産経験のある人。(今後子どもを産むかもしれないが)当面(2~5年)は妊娠を希望しない人。骨盤内感染症にかかったことのない人。OCの適さない人。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子
医師を探す