社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金部会は24日、少子高齢化に伴う年金水準低下への対策に関する議論を始めた。給付財源を確保するため、国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現状の40年間(20~59歳)から45年間(20~64歳)へ5年間延長する案などを検討。厚労省は2024年末までに改革案をまとめ、25年の通常国会での法改正を目指す。
 今の制度は、現役世代が保険料を納め、高齢者に年金として仕送りする仕組み。少子高齢化により基礎年金は給付水準の低下が見込まれ、高齢者の暮らしへの影響が懸念される。
 国民年金保険料の納付期間を延長すると、その分だけ、給付水準の上乗せが期待できる。一方で、国民年金保険料を納める自営業者らは負担が増す。基礎年金の半分は国庫負担で賄っていることから、給付が膨らむ分、その財源確保も課題となる。
 会合では、納付期間を延長する案に対して賛成する声が相次いだ。その上で、国庫負担分の確実な財源確保を求める意見も出された。
 部会はまた、年金制度維持のため物価や賃金よりも支給額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の見直しも協議。この制度により、基礎年金の給付水準が著しく低下する恐れがあるため、適用する期間の短縮も議論する。財源として、厚生年金や国庫から拠出する案などを検討する見通しだ。
 このほか、厚生年金に加入して働き、一定以上の収入があると年金が減額される「在職老齢年金」の在り方も議題に列挙。高齢者の就労意欲を損なわないよう、制度の見直しを話し合う。
 部会はこれまで、厚生年金の適用拡大や「年収の壁」対策を取り上げており、来年以降もさらに議論を深める。 (C)時事通信社