治療・予防

高齢者や女性に多い便失禁
かかりつけ医に相談を

 ◇治療に新たな選択肢

 通常の治療法は薬物療法で、便の水分を吸収して形状を整える便形状改善薬、腸の消化運動を抑える下痢止め薬を組み合わせる。「便形状改善薬で軽減する患者さんは少なくありません。そのほか、骨盤底筋を強化する骨盤底筋体操、肛門の締め方のこつを習得するバイオフィードバック療法を行うこともあります」と山名部長。出産時の括約筋の損傷が原因の場合は「括約筋の傷を修復する肛門括約筋形成の手術が有効」だという。

 新たな便失禁の治療法として注目されているのが仙骨神経刺激療法(SNM)で、2014年4月から健康保険が適用されるようになった。小型の装置を体内に埋め込んで骨盤内の仙骨神経に電気刺激を送り、筋力や便意の感覚を高めて便失禁を改善する治療法で、「欧米では以前から行われており、便失禁の回数が半分以下になる人が約8割と、効果の高い治療法です。直腸がん手術後の便失禁でも改善例があります」と山名部長は説明する。

 「便失禁は専門医が少ないのが現状ですが、薬物療法はかかりつけ医の下でも受けられるので、まずは相談してほしい」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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