治療・予防

若年女性の頻尿・尿漏れ
~行動療法で改善も(亀田総合病院 野村昌良部長)~

 女性の多くが悩んでいる頻尿・尿失禁(尿漏れ)。出産後や中高年の病気と思われがちだが、出産を経験していない若年女性も無関係ではない。亀田総合病院(千葉県鴨川市)ウロギネ(女性泌尿器)科の野村昌良部長は「10~20歳代の女性の中にも、悩んでいる人がいます。病状にもよりますが、多くの場合、水分の取り方やトイレに行くタイミングを変えるなどの行動療法で改善が期待できます」と話す。

尿意の7段階

尿意の7段階

 ◇ぼうこうの容量小さい

 ぼうこうは神経を介して脳と情報をやりとりしている。尿をためるときはぼうこうが緩み、尿道括約筋(尿道を取り囲む筋肉)が収縮する。排尿するときはぼうこうが収縮し、尿道括約筋が緩む。「若年女性の尿漏れは、急に尿意を覚え、間に合わずに尿が漏れてしまう切迫性尿失禁が主です。神経障害を伴う椎間板ヘルニアなど別の病気がないケースでは、ぼうこうの容量が小さく、頻尿を伴うことが多いです」

 成人の正常なぼうこうは、約500ミリリットルの尿をためられる。「尿漏れがある若年の女性患者さんの多くはぼうこうの容量が250~300ミリリットル程度で、短時間で満杯になります。このようなぼうこうは不安定になりやすく、緊張や寒さ、水分の取り過ぎなどに過敏に反応して急に収縮し、尿が漏れる場合があります」

 学校や職場で何度もトイレに行きにくいなど、困るようになったらウロギネ科、または排尿障害を専門とする泌尿器科や産婦人科を受診するとよいという。

 ◇体の機能を知る

 頻尿・尿漏れの検査は、問診と尿検査、会陰部からのエコーを含む内診の他、必要に応じて1回の排尿量や尿の勢い、排尿直後にぼうこうの残尿量などを測定する。

 「ぼうこうの容量が小さい若年女性の治療は、通常は行動療法を中心とし、補助的にぼうこうを広げる飲み薬を使用します」。行動療法では、尿漏れパッドを極力外すことを目標に、排尿記録をつけ、過度な緊張を避け、適切な水分摂取や運動、排尿のタイミングの調整などの指導を受ける。

 野村部長が考案した「尿意の7段階」は、尿意を意識し、尿が漏れないタイミングを判断してトイレに行く訓練に使用する。効果が不十分な場合は外科的治療を検討するケースもまれにあるという。

 頻尿・尿漏れは、恥ずかしいからと受診を控える人もいる。野村部長は「頻尿・尿漏れに困ったら受診して一歩踏み出しましょう。ウロギネ科では、患者さんが自分のぼうこうの機能を知り、頻尿・尿漏れに悩まない快適な生活のために努力していけるようサポートします」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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