近年、全国的に増加している梅毒。性行為だけではくキスでもうつる可能性があるため、もしかしたら梅毒かも?と不安になっている方もいるかもしれません。
この記事では、梅毒の初期症状を実際の画像とともに男女別で詳しく解説します。自分の身を守るための第一歩として、ぜひ役立ててください。
目次
梅毒の初期症状はしこりや潰瘍|症状を期間ごとに写真付きで詳しく紹介
陰部に発疹のようなものができたなど、自分の症状が梅毒のものではないかと不安に思ってしまいますよね。
ここでは、梅毒の初期症状に焦点を当て、男女別の症状変化を画像付きで詳しく解説します。治療すれば治る梅毒だからこそ、どんな時期にどのような症状が現れるのか、経過とともに変わるその特徴を理解することが大切です。
第1期梅毒(感染3週間〜3ヶ月):しこりや潰瘍が生じる
梅毒の第1期は、感染から約3週間後、痛みを伴わないしこりや潰瘍が現れることが一般的です。
感染部位によって、症状の出方が異なることがありますので、以下で具体的な変化を詳しく紹介していきます。
【男女】接触部位にしこりが形成される
性行為による感染の際、男性も女性も陰部や肛門の部位にしこりやできものが現れることがあります。
しこりやできものは硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれ、触れると硬さを感じるのが特徴です。特に女性は、しこりや潰瘍の進行に気付かないことが多いため、定期的な自己チェックを行うようにしましょう。
【男女】しこりが潰瘍やびらんに進行する
しこりが形成されると、放置すると硬性下疳という潰瘍やびらんに進行することが考えられます。
潰瘍やびらんはヘルペスや口内炎と見た目が似ていますが、痛みを伴わない特徴があるため、気付かないことが多いです。放置すると感染が全身に広がるリスクが高まるので、早めの対応が肝心です。
【男女】リンパ節が腫脹する
梅毒はトレポネーマという細菌によって引き起こされる感染症です。初期症状として、リンパ節の腫脹が見られます。
特に感染部位の近く、例えば太もも近辺のリンパ節にリンパの腫れが現れることがよくあります。
第2期梅毒(感染後3ヶ月以上):発熱やバラ疹が生じる
感染から3ヶ月以上経過した第2期梅毒は、症状がよりハッキリと現れます。風邪のような体調の変化や、女性や男性の皮膚に異常が出ることが一般的です。
【男女】発熱・高熱に伴う倦怠感や頭痛の出現
熱や高熱を伴う咳が現れることがあります。加えて、全身の倦怠感や頭痛が強く感じられることもあるでしょう。
【男女】梅毒性バラ疹が出現
第2期では赤い斑点やあざ、跡、さらにはイボのような梅毒性バラ疹や発疹が、体の中心から腕や背中にかけての部位に出現することが特徴的です。
特に、手のひらや足の裏に明瞭なバラ疹が徐々に増えていくと言われています。
【女性】肛門や粘膜付近に梅毒性粘膜疹が出現
女性にとって注意が必要なのは、肛門や舌などの粘膜付近に梅毒性粘膜疹が現れることです。性感染症としての梅毒の特徴的な症状として知られています。
第3期梅毒(感染後3年〜10年):骨や筋肉にも硬いしこり(ゴム腫)を形成
感染から数年が経過すると、梅毒は第3期に移行します。骨や筋肉に硬いしこり、いわゆるゴム腫が形成されることが一般的です。
男性女性ともに注意が必要なので、見た目だけでなく体内での変化も確認しましょう。
第4期梅毒(感染後10年以上経過):神経障害が生じる
最も進行した第4期梅毒では、神経障害のみならず心臓や全身にも影響が出ることが知られています。放置すると日常生活にも大きな影響を及ぼす可能性が高いほど深刻な症状です。最悪の場合、死に至る可能性もあります。
特に、感染から長い時間が経過している男性や女性は、潰瘍やその他の症状にも十分な注意が必要となります。
梅毒の初期症状は一時的に消失するが自然治癒することはない
梅毒の初期症状は、一時的に消失することがありますが、それが自然に治癒したわけではありません。気付かない間に、体内で梅毒は進行しており、放置するとしこりやその他の症状が再び現れるリスクが増えます。安心せず、早期の治療を受けることが大切です。
梅毒の初期症状を疑ったら皮膚科・泌尿器科・性感染症内科で血液検査を受けよう
梅毒の診断には血液検査が必要で、早期発見・早期治療が非常に重要です。梅毒の初期症状を疑うような変化が体に現れたら、すぐに皮膚科・泌尿器科・性感染症内科などの医療機関を受診することが大切です。女性の場合は、かかりつけの産婦人科で相談しましょう。
地域によっては保健所での無償検査サービスも提供されていることがあります。また、感染のリスクを低減するためには、性行為の際のコンドームの正しい使用や、パートナーとの情報共有も欠かせません。
梅毒に感染する2つの原因
梅毒に感染する原因は主に2つ考えられます。以下で詳しく解説していきます。
①性行為などの接触感染
梅毒は性感染症の一つで、主な感染経路はキスや性行為を通じた接触感染です。感染者の皮膚や粘膜の病変部分と、健康な人の粘膜が直接触れ合うと、梅毒細菌が体内に侵入します。
このため、性行為の際はコンドームを正しく使用すれば、感染リスクを大幅に減少させることが可能です。しかし、エイズやHIVといった他の性病と同様、コンドームの使用方法を誤ると効果は半減します。正しい知識と技術が求められ、患者や感染者との接触を避けることも重要です。
②母親から感染する母子感染
もう一つの梅毒の感染経路は、母子感染です。子供が生まれつき梅毒に感染する状態を先天梅毒と言い、感染した母親から胎児へ梅毒細菌が移行することが原因です。
妊娠を希望する女性や妊娠中の方は定期的な検査を行うようにしましょう。
調査期間中に要治療と診断された梅毒感染妊婦は376名であり、若年齢層ほど感染率が高い傾向にありました。妊婦全体の感染率は2016年の同調査の約3倍となっており、どの年齢層においても上昇傾向にありました。
早田英二郎, 妊娠中の梅毒感染症(2023年版)に関する実態調査結果の報告, 2024. 1.
梅毒は治らない病気じゃない!初期症状のうちに抗菌薬治療を
梅毒は、初期症状の段階で適切な治療を受けることで治る可能性のある病気です。しかし、初期症状を見逃してしまう方も少なくありません。早期発見・早期治療が、梅毒を効果的に治す鍵となります。
治療薬には、主にペニシリン系の抗菌薬が用いられており、サワシリン(アモキシシリン)や、ペニシリンにアレルギーがある場合にはミノサイクリンなども治療に使われます。市販では購入できないため、医療機関にて処方を受けましょう。
梅毒の初期症状に関するよくある質問
梅毒に感染した男性・女性それぞれの特徴は?
男性では、陰茎や亀頭に特有の痛みを伴わないしこりや潰瘍が出現することが梅毒の兆候として知られています。
女性の場合、膣内や陰唇に同様の症状が現れることが指摘されており、これらの変化に気付いた場合、梅毒の可能性を考慮することが重要です。
どちらの症状も、放置すると進行し、さらに重篤な状態になる可能性があります。
梅毒を放置するとどうなりますか?
梅毒の治療を怠ると、時間が経過するにつれて心臓や脳に深刻なダメージが生じる可能性が高いです。梅毒かもと感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
梅毒の予防方法を教えてください
性行為の際はコンドームを正確に使用することで感染リスクを低減できますが、絶対的な保護手段ではありません。不特定多数との関係は控え、定期的な健康チェックを受けることも大切です。
梅毒はキスでもうつりますか?
キスでも梅毒の感染が起こることが考えられます。特に喉に症状が現れる場合、ただれやしこりが出現することがあるので注意が必要です。
潜伏期間は何日ですか?
梅毒の潜伏期間は、個人差があるものの、感染後約10日から3週間程度とされています。この期間中に初期症状が現れることが多いです。
いつから検査はできますか?
梅毒の診断は、感染してから約4週間後に血液検査で行うことができます。病変から検体を採取して顕微鏡で観察する検査や、PCR検査を実施する場合もあります。
まとめ:梅毒の初期症状を疑ったら早めに受診しよう!
日本では近年、梅毒の感染者が急増しています。陰部に発疹のような症状が現れた場合、梅毒の初期症状を疑うことが大切です。
梅毒の完治には、早期の発見と治療が非常に重要です。自身の健康を守るため、そして大切なパートナーや周囲の人々の健康を守るためにも、疑わしい症状があれば、早めの受診を心がけましょう。