がんと診断された患者が2年以内に自殺するリスクは、一般と比べて約1.8倍高いことが厚生労働省研究班の調査で分かった。診断後の期間が短いほどリスクが高い傾向があり、研究班は「がん患者の自殺対策は診断後早期が重要。一方で、2年経過してもリスクが高く、長期間にわたる対策が必要だ」としている。
 研究班は2016年にがんと診断された患者約107万人を分析。2年間の追跡調査で自殺者数や時期を集計し、一般と比較した。
 その結果、診断から2年以内に自殺した患者は660人で、自殺リスクは一般の1.84倍に上った。診断の1カ月以内が4.40倍で最も高く、2~3カ月では2.61倍、4~6カ月は2.17倍と2倍を上回った。
 時間の経過とともにリスクは減少したが、13~24カ月後でも1.31倍に上り、中・長期的に高い傾向が示された。
 がんが進行しているほどリスクが上昇した一方、年齢や性別による差は認められなかった。自宅で亡くなったのは472人で全体の7割を超えており、入院中は数%程度とみられる。研究班は「外来通院中の進行がん患者を対象とした対策について、今後検討する必要がある」とした。
 研究代表者の藤森麻衣子・国立がん研究センターがん対策研究所室長は「早期の段階でリスクの高い人を見つけてアプローチすることが大切だ」と指摘。海外では適切にリスク評価できなかった人の中に自殺したケースもあるといい、「外来のがん患者やその家族をしっかり支援できる、漏れのない仕組みをつくっていく必要がある」と話した。 (C)時事通信社