パート従業員らの収入が一定額を超えると年金などの社会保険料の負担で手取りが減る「年収の壁」を巡り、厚生労働省は24日までに、年収が一時的に130万円を超えても連続2年までは扶養にとどまれるようにする方針を決めた。近く政府が発表する年収の壁対策のパッケージに盛り込む。10月から実施する考え。
 パート従業員らの年収が130万円を超えると、配偶者による扶養の対象から外れ社会保険料を負担する必要があり、「130万円の壁」と呼ばれる。このため手取りの減少を避けようと、働く時間を調整するケースが多く、職場の人手不足の要因ともされている。
 そこで厚労省は、一時的な増収で130万円を超えても健康保険組合など保険者の判断で2年までは扶養にとどまれるようにする。一時的に超過しても扶養から外れないようにする仕組みは今もあるが、十分浸透していないため、具体的な年限を示すことにした。
 一定の条件下で社会保険料の納付が必要になる「106万円の壁」の解消に向けては、企業を対象にした助成制度を創設する。手取りが減らないよう労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に1人当たり最大50万円を助成する。
 ただ、これらの対策は2025年の次期年金制度改革までの一時的な措置。厚労省は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で制度の抜本見直しに向けた議論を今月開始しており、24年末までに案をまとめる。 (C)時事通信社