人工知能(AI)を使って新型コロナウイルスなど10種類の感染症の流行状況を予測するシステムを東北大の医学部生らが開発し、このほど配信サービスを開始した。天候や人の流れなどのデータと最新の感染者数の動向をAIが分析し、都道府県ごとに1週間後までの警戒レベルを4段階で表示する。開発した学生は「予測を見てマスクを着けるなど、行動を変えるきっかけとしてもらいたい」と話している。
 予測対象は新型コロナのほかにインフルエンザ手足口病、プール熱など。全国の気温や降水量など過去10年分の気象データや感染者数などをAIが分析。週1回、都道府県・感染症別の感染動向を「大幅に増加」「増加」「少し増加」「横ばいもしくは減少」の4段階で表示する。
 システム開発は東北大とIT企業「ジェイ・シス」(仙台市)の共同研究事業の一環で、医学部4年の佐藤雄大さん(22)ら4人が担当。疫病を鎮めるとされる妖怪とAIにちなんで、「アマビエAi(あい)ちゃん」と名付けた。予測は同社の医療情報サービスや、病院や自治体などに設置されている電子看板(デジタルサイネージ)で配信する。
 高校1年から独学でプログラミングを始めたという佐藤さん。医学部の同級生3人と7月からシステム開発やデータ収集を始め、大学のテスト勉強をこなしながら、約2カ月半で開発したという。
 佐藤さんは「予測精度は完璧ではないが、より多くのデータを入れればもっと高められる。多くの人に知ってもらえれば」と話した。 (C)時事通信社