静岡県立総合病院（静岡市）は２０日、患者の検体を取り違えた結果、がんと誤診した６０代男性患者の前立腺を摘出する手術ミスがあったと発表した。がんを見逃された８０代の別の男性患者は、別の部位に転移してホルモン療法を行っている。摘出された男性には尿漏れなどの症状が出ているという。病院側は２人に謝罪した。
　同病院によると、２人は前立腺特異抗原（PSA）の値が高く、４月の同じ日に前立腺の検体を採取し、検査した。その結果、６０代男性が前立腺がんと診断され７月に手術したが、摘出した前立腺を調べたところ、良性と判明。その後のＤＮＡ鑑定で、検体は８０代の男性患者のものだったことが分かった。
　採取した検体を取り違えて容器に入れてしまい、誤診につながった可能性があるという。容器のラベルと患者のリストバンドには患者名などが書いてあったが、医師と看護師が照合していなかった。
　記者会見した小西靖彦院長は「患者と家族に負担を掛け、県民の信頼を裏切ることになり、心からおわびする」と謝罪した。　（Ｃ）時事通信社