医療機関が労災診療費の請求を電子化するシステムの導入促進のため、国が経費の一部を支援する事業について会計検査院が調査したところ、111機関で事実と異なるなど不適切な申請に基づく支払いがあったことが25日、分かった。検査院は厚生労働省に対し、こうした支援金を返還させることなどを求めた。
 厚労省は2016年から、電子化に必要なソフトウエアの導入や設定にかかる費用の2分の1を、1機関当たり80万円を限度に「導入支援金」として支給。審査や支払い手続きは国の委託業者が行っている。
 検査院は17~21年度に計約6億6300万円余りの支援金が支払われた3146機関のうち、特定のソフトウエア販売業者と契約したとしている150機関を調べた。
 すると、70機関が実際には別の会社とリース契約してソフトウエアを導入していたのに、この業者から購入したとする虚偽の内容の申請書で支払いを受けていた。41機関ではソフトウエアと支援対象外の健康保険システムを一体で導入する契約を結んでいたため、申請した経費が適正かどうかが確認できないのに、委託業者は申請通り支払っていた。
 厚労省の担当者は「支援金制度自体を見直していく」とコメントした。 (C)時事通信社