イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃を受け、ガザからエジプトに退避した国際医療支援NGO「国境なき医師団」スタッフの白根麻衣子さん(36)が4日、オンラインで記者会見した。ガザでの避難生活について「本当に極限だった。日々物資が不足し、次の日に食べるものがなくなる恐怖を感じた」と話した。
 白根さんは、医療援助プロジェクトの人事マネジャーとして5月にガザに派遣された。イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した10月7日以降は、勤務先があったガザ北部で避難。同13日にイスラエル軍による退避勧告が出されてからは南部に移り、国連施設で現地スタッフらと避難生活を送ったものの「ミサイルがいつ飛んでくるか分からず、安全を感じたことは一度もなかった」と話した。
 同27日には電話や通信が遮断され、食料店などへの連絡ができなくなった。「どうやって食料や水を調達するんだろうという状態。多くの死傷者が出る中で救急車を呼ぶこともできず、助けられる命も助けられない。精神的にも物理的にも大きな不安材料だった」と振り返った。
 11月1日朝に連絡を受け、エジプトへ退避するため車でラファ検問所に向かった。検問所で待機した数時間について「本当に渡れるんだろうかという不安と、現地のスタッフを置いていくことに複雑な気持ちだった」と話した。
 退避できた後は「ほっとした」と感じる一方、「戦争は終わっておらず、物資の不足や適切な医療を受けられない状況は変わっていない」と話し、「無差別な暴力は間違っている。即時停戦のため、国際社会が声を上げることが大切だ」と訴えた。 (C)時事通信社