【ハンユニス(パレスチナ自治区ガザ)時事】パレスチナ自治区ガザ南部のハンユニスで6日、日本発祥の母子手帳がパレスチナで本格導入されてから15年を記念する式典が開かれた。母子手帳は、不安定な環境で育児を支える大切な存在となっており、式典に参加したアラ・アフマンさん(29)は「母子手帳は友達のようなもの」だと重要性を強調した。
 パレスチナなどで使われているアラビア語版の母子手帳は、母子の健康状態の記録のほか、育児の注意点など子育ての手引としての役割もある。日本の国際協力機構(JICA)の支援で2008年にヨルダン川西岸のパレスチナ自治区で本格的に導入され、その後ガザでも利用が始まった。
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)との連携により、レバノンやヨルダン、シリアのパレスチナ難民キャンプにも普及した。紙の手帳に加え、スマートフォンのアプリもある。
 今回の式典は、日本が支援を開始してから今年で70年となるUNRWAが主催。日本人の母親とガザに暮らすパレスチナ人の母親がオンラインで交流する企画も行われた。
 JICAパレスチナ事務所の星光孝所長は、母子手帳は「健康を効果的にフォローできる」と利点を説明。ハンユニスで子育て中のギダーフ・アルバイユークさん(39)は、夫も母子手帳を見て「育児を手助けしてくれた」と語った。 (C)時事通信社