第一三共および「エンハーツ適正使用推進委員会」は8月23日、先ごろHER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)に対する適応を取得した同社の抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名エンハーツ)について、「適正使用へのご協力のお願い」(以下、「お願い」)を関係学会に告知した。同薬の臨床試験で重篤な間質性肺疾患(ILD)の発現が認められたとして、投与に当たっては呼吸器医と連携するよう呼びかけている。

定期的な胸部X線、CT検査が必要

 T-DXdはこれまで、2020年3月にHER2陽性の手術不能・再発乳がんで承認を取得後、HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃がん(2020年9月)、HER2低発現の手術不能・再発乳がん(2023年3月)に適応が拡大されており、今回のHER2陽性進行・再発NSCLCが4件目の適応症となる(関連記事:「【速報】HER2低発現乳がん、エンハーツが使用可能に 」)。

「お願い」ではILDの発現に備え、臨床症状(呼吸困難、咳嗽、発熱など)を確認するとともに、定期的に動脈血酸素飽和度(SpO2)検査、胸部のX線およびCT検査を実施するなど、投与患者の観察を十分行うよう要請。また、T-DXd使用の施設要件を設定し、自施設または提携施設でこれらの検査を含むILDへの対応が可能であることとしている。

(編集部)