マイナンバーカード取得者に最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント第2弾」が9月末で終了した。第2弾の実施でカードは急速に普及したが、窓口となる自治体で情報のひも付けミスなどが続出。マイナンバー制度に対する国民の信頼が揺らぐ中、カードのさらなる普及や利用の定着には課題が山積している。
 政府が第2弾を本格的に始めたのは2022年6月末。今年2月末にポイントの対象となるカードの申請が締め切られた。この間のカードの申請件数は約3400万件に達し、鈴木淳司総務相は「カードの早期普及に相当な効果があった」と総括。第1弾を含め、事業に投じられた予算の総額は2兆1000億円程度に上る。
 カードの申請件数は9月27日時点で9800万件を超え、人口に対する申請率は約78%まで伸びた。政府は24年秋に現行の健康保険証を廃止し、カードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針で、今後も未取得者に申請を促していく考えだ。
 しかし、マイナンバー制度を巡っては、コンビニ交付サービスでの住民票の誤交付や、マイナ保険証に別人の情報が誤ってひも付けられる事案などが相次ぎ発覚。トラブルへの不信などからカードを自主返納する動きもある。政府は不安払拭に向け、マイナンバー情報の総点検を進めており、原則11月末までの完了を目指している。
 庄司昌彦武蔵大教授(情報社会学)は「総点検だけでなく、日常的にトラブルやリスクを点検するプロセスが重要だ」と指摘。制度の透明性を高めるため、「カード保有者が、自分の情報の内容や管理状況を把握できる仕組みを充実させていく必要がある」と話した。 (C)時事通信社