厚生労働省は、人手不足が深刻な介護職員らの処遇改善のため、賃金を2%程度、月額で約6000円を引き上げる。関連経費約539億円を2023年度補正予算案に盛り込んだ。都道府県を通じ、来年2~5月の賃上げ分を支給する。
 対象は介護事業所と障害福祉サービス事業所の職員と、医療機関の看護補助者。常勤の職員数に応じて賃上げ分を施設に支給する。介護職への補助金は、施設の生活指導員やリハビリ職などの処遇改善にも充てられる。
 介護事業者と看護職員の給与は介護報酬と診療報酬で支払われ、24年度は同時改定の年に当たる。政府はこれに先立つ「つなぎ」として、23年度補正予算で処遇改善を実施。24年度改定での恒久的な措置を目指し、年末の予算編成過程でさらに議論する。
 全国老人保健施設協会などの調査によると、今年の春闘の平均賃上げ率は3.58%だったのに対し、介護職員は1.42%で大きく下回る。物価高騰を受けて他業種で賃上げが相次ぐ中、介護業界からの人材流出も深刻化しており、関係団体が処遇改善を強く要望していた。 (C)時事通信社