新米医師こーたの駆け出しクリニック

コロナ疑いの患者さんが殺到 
今も続く休日の緊急外来のリアル 専攻医・渡邉 昂汰

 ワクチンが普及したこともあり、コロナウイルス感染症による死亡・重症者は減っていますが、感染者数は増減を繰り返し、一向にコントロールができない状態です。

 感染者が増えてくるときに問題となるのが、医療リソース不足です。特に、多くのクリニックが休診している土・日・祝日には、コロナの検査をしてほしい患者さんが、救急外来に殺到し、診療を圧迫しています。

JR新大阪駅に設置された新型コロナウイルスの無料検査所で検査を受ける男性(本文と直接関係はありません)=2022年4月28日、大阪市淀川区【時事通信社】

JR新大阪駅に設置された新型コロナウイルスの無料検査所で検査を受ける男性(本文と直接関係はありません)=2022年4月28日、大阪市淀川区【時事通信社】


 ◇緊急外来で実際に起きていること

 実際には、どのように診療が圧迫されているのでしょうか。

 コロナ疑いの患者さんは、受け付け時から臨時テントや陰圧室などに一人一人、隔離する必要があります。

 救急車で搬送されてくる患者さんも、発熱や呼吸苦などの症状があれば、状況的にはコロナを積極的に疑わなくても、感染拡大を防ぐために隔離する必要があります。

 当然、テントや陰圧室の数には限りがありますが、受け付け・診察・検査・会計などを含めると、1人当たり最低でも20~30分程度の時間がかかり、清掃が終わるまで、その部屋に新しい患者さんは入れません。

 また、診察のたびに、防護具の着脱や入念な手指衛生などの感染予防策を取る必要があり、通常診療との行き来も、一苦労です。

 特に、人員が潤沢とは言えない中小規模の医療施設では、通常診療と発熱診療をまたいで対応しなくてはならない場面も多くあるため、スムーズに診療を行うことは困難を極めます。
 
 ◇リスク低い患者さんにお願い

 このように救急外来を、コロナ陽性か陰性かを判定する場所として使用してしまうと、緊急性のある疾患に対応をするという本来の役割を果たせなくなってしまいます。

 症状が熱とせき、咽頭痛のみで、食事も水も取れていて、基礎疾患のないような、重症化リスクが低い患者さんは、どうか週明けの発熱外来まで、自宅待機をお願いできないでしょうか。

 コロナの症状に対して処方する薬は、一般的な風邪薬と同じ対症薬です。

 発熱せき・咽頭痛などに対応できる市販薬を、薬局であらかじめ購入していただき、症状があれば自宅で休み、セルフメディケーションに努めていただければと思います。

(了)


 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。


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