新米医師こーたの駆け出しクリニック

胃がん原因、98%はピロリ菌
~「井戸水から」は昔、大半は親から子へ感染~ 専攻医・渡邉 昂汰

 つい1カ月ほど前に、私はピロリ菌の検査を受けてきました。抗体の有無は、採血のみで簡単に検査でき、1週間後には結果を知ることができました。全国民が絶対に受けるべき検査だと改めて感じたので、皆さんにもぜひお伝えしたいと思い、記事にしました。

 ◇怖いピロリ菌感染

 ピロリ菌は、胃粘膜に感染して、萎縮性胃炎を起こします。これは胃がんの発生母地となり、放置していると、どんどん発生リスクが上昇します。

萎縮性胃炎と診断された際の画像。胃の粘膜が薄くなり、血管が透けて見えている(筆者提供)【時事通信社】

萎縮性胃炎と診断された際の画像。胃の粘膜が薄くなり、血管が透けて見えている(筆者提供)【時事通信社】

 他にも、胃・十二指腸潰瘍や胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などさまざまな疾患との関連が報告されています。

 ピロリ菌への感染のほとんどは、胃の発達が未熟な乳幼児期に起こります。上水道が一部整備されていなかった昔は、井戸水から感染していたと考えられていましたが、今では親から子供への家庭内感染がほとんどだと言われています。

 ◇誰もが感染の恐れ

 昔と比べると、だんだん減少してはいますが、若者にもそれなりに感染者はいます。

 実際、一緒に受けた同僚は20代ですが、ピロリ抗体が陽性で、その後、胃カメラで萎縮性胃炎と診断されました(写真)。

 正常な胃粘膜と比較すると、胃がんのリスクは大幅に上昇している状態です。薬を1週間、内服して1次除菌をしたところですが、除菌できても完全に胃がんのリスクをゼロにすることはできないため、今後は定期的な胃カメラが推奨されます。

 ◇検査で早期発見を

 私の住んでいる名古屋市では、2021年からピロリ菌検査が年代によっては無料で受けられます。他にも全国に補助がある自治体があるようです。

 胃がんは日本人に多いがんですが、ピロリ菌の早期除菌でリスクを大きく下げることができます。自分と家族のため、そして未来の子供たちのために、あすにも検査を行うことを強くお勧めします。

(了)

 

 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている

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