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脂漏性皮膚炎は、頭や顔など体の皮脂が多く分泌される所に発症しやすい。頭皮の場合、洗ってもフケが増えるという困った症状で気付くことがあり、抜け毛の原因になることもあるという。NTT東日本関東病院(東京都品川区)皮膚科の五十嵐敦之部長は「脂漏性皮膚炎は比較的よく見られる疾患ですが、区別がつきにくい他の皮膚疾患もあるので、皮膚科医に見せることが大切です」と話す。
洗髪してもフケが増え、抜け毛の原因にも
▽原因は皮膚の常在菌
脂漏性皮膚炎の発症場所は、頭皮や髪の生え際、眉間やほうれい線、脇の下や股の付け根などの皮脂の分泌が多い場所だ。頭皮であればフケ、顔や体であれば鱗屑(りんせつ)という白く粉を吹いたようなものが生じる。かゆみを伴い、カサカサとした乾いた皮疹ができることもある。
同じようにかゆみを伴うアトピー性皮膚炎が子どもに多く発症するのに対し、脂漏性皮膚炎は30~40代の男性に多い。
発症には、皮脂を好むマラセチアという種類のカビが関係しているといわれている。誰の皮膚にもいる常在菌だ。五十嵐部長は「特に頭皮や顔などにすみつきやすく、食べた皮脂を分解してできた物質が、皮膚に刺激を与え炎症を起こすとされています」と説明する。ただし、発症に関連するのはマラセチアだけに限らず、体質や生活習慣など、他の要因も絡んでいるという。
▽2種類の塗り薬で治療
治療は、まずステロイドの塗り薬でかゆみと炎症を鎮め、その後にケトコナゾールという抗真菌作用のある塗り薬で皮膚を正常な状態に近づけていく。「2種類の薬をうまく使い分けて症状をコントロールします。再発しやすいので、脂漏性皮膚炎とはうまく付き合っていくことが大事です」と五十嵐部長。
皮脂は毎日分泌されるので、体を清潔に保つのはもちろん大切だが、洗い過ぎもよくない。失われた皮脂を補おうと、皮膚が余計に皮脂をつくり出してしまうからだ。例えば頭皮であれば、フケ止めの効果があるシャンプーを使って、髪がべたつかないよう適度に洗髪するのがよいという。睡眠をよく取り、過度な飲酒や刺激物、脂肪分の多い食事はできるだけ控えることも重要だ。
五十嵐部長は「頭部や顔面の脂漏性皮膚炎は、似た症状を示す乾癬(かんせん)と区別がつかないこともあります。慢性的な経過をたどると皮膚が元に戻りにくくなるので、思い当たる症状が出たら早めに皮膚科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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