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自己免疫性膵(すい)炎は、1995年に日本から世界に発信された原因不明の特殊な膵臓の疾患である。日本では、抗体の一種であるIgG4を分泌する免疫細胞の増殖が起こるIgG4関連疾患の膵病変が大半で、難病に指定されている。関西医科大学付属病院(大阪府枚方市)消化器肝臓内科の岡崎和一主任教授に聞いた。
副作用の問題がなければ、3年間のステロイド内服が推奨される
▽IgG4が関与
人間には、細菌やウイルスなどの異物を排除するための免疫機能が備わっている。何らかの原因により免疫機能が誤作動を起こし、自身の臓器や細胞を異物として攻撃することで発症する病気を自己免疫疾患という。自己免疫性膵炎もその一つと考えられている。
免疫をつかさどる抗体の主な成分に、免疫グロブリン(Ig)というタンパク質がある。Igには5種類あり、そのうち健常人ではわずかしかないIgGの一つがIgG4である。IgG4関連疾患は最も少ないはずのIgG4の血中濃度が高く、IgG4を分泌する免疫細胞が増殖して、さまざまな臓器で炎症や線維化を引き起こし、臓器が腫れる特徴がある。
IgG4関連疾患では、涙腺や唾液腺、肺、腎、膵、腸など全身に炎症が起こり得る。「どこに症状が表れるかは、患者さんによって異なります。自己免疫性膵炎は、膵臓に表れたものです」と岡崎主任教授は説明する。
▽長期ステロイドで治療
自己免疫性膵炎は高齢男性に最も発症しやすい。膵臓がソーセージのように腫れたり、胆汁の流れる胆管が細くなったり閉塞したりして、黄疸(おうだん)が表れることもしばしばである。急性膵炎のような痛みはなく、あっても軽度である。
かつては膵臓がんと間違われる患者が多かったことから、自己免疫性膵炎の診断では、膵臓がんとの区別が重要である。コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)、内視鏡などの各検査を行う。撮影した画像、IgG4の血中濃度だけでなく、組織や細胞を採取して膵臓がんと区別することが大切である。
治療では、ステロイドが使用される。症状を見ながら服用量を減らし、副作用が問題とならなければ長期の維持療法へ移行する。約半数は再発するので、ステロイドの内服は3年ほど継続することが推奨されているが、それでも中止すると再発することがある厄介な病気である。
「原因は不明であるものの、原因物質や免疫異常の特定が進んでおり、今後は標的物質を解明することで、将来的には新しい治療法の開発などが期待できます」と岡崎主任教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/18 12:34)
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