2021/03/29 05:00
医師に必要なコミュ力とは
2年間の研修で学んだこと
私は今月、厚生労働省が定める産業医学研修を修了し、産業医の資格を取得しました。産業医は、企業において職場巡視や過重労働面談などを行い、労働者の健康を守る医師です。労働者数が50人以上の事業所は、産業医の選任が義務付けられています。
慢性的な長時間労働で、慢性的な睡眠不足に陥らないように
◇双方に指導・助言
産業医は具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。
皆さんの働いている職場には、労働災害となりうる要素が多く潜んでいます。工場であれば化学物質や電離放射線への暴露、オフィスであれば残業やノルマなどによるストレスなどです。
産業医は、化学物質への暴露量の測定や長時間労働者への面接指導を行い、事業者と労働者双方に指導・助言を行います。医学的根拠に基づいて、さまざまな労働問題の対策を行い、労働者の適正就業を達成することが産業医の役割です。
◇慢性的な長時間労働
産業医の役割として、近年特に重要視されているのが、長時間労働による健康障害の防止です。慢性的な労働時間の増加によって、最も影響を受けるものは睡眠時間です。
睡眠時間が減少すれば疲労が取れなくなります。そして、1日の睡眠時間が6時間以下になると死亡率が増加し、5時間以下では脳および心臓疾患が増加すると疫学上示されています。
「私は大丈夫。昔の人はもっと働いていた。働きたい人の自由を奪うな」といった声も聞こえますが、データとしてはっきり結果が出ている以上、悲しい事象が起こる前に手を打つことは、必要不可欠でしょう。
◇気持ちをリセット
私自身も1カ月の残業が94時間だった時、事業者の勧めで産業医による面談を実際に受けました。睡眠時間はとれているか、上司や同期とはうまくやれているかなどについて、親身になって話を聞いていただき、「少しでも自分の心や体の異変に気付いた時には相談してください」という心優しい言葉をかけていただきました。
4月からの新しい環境下で、気が張っていたことに初めて気付き、気持ちをリセットできました。面談を受けて良かったと心から思っています。
病院受診よりもハードルが低く、気軽に相談できる産業医面談。困った時には味方になってくれる産業医がいることを頭の片隅に入れていただけましたら幸いです。(研修医・渡邉昂汰)
(2020/02/28 07:00)
2021/03/29 05:00
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