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躁(そう)とうつ病を繰り返す双極性障害。以前は躁うつ病という病名で知られていたが、現在は両極端の症状が起こるという意味で双極性障害と呼ばれている。発見が困難で治療も難しい病気と考えられているが、NTT東日本関東病院(東京都品川区)精神神経科の秋山剛部長は「日中の活動内容などを書き込む活動記録表を活用し、気分の波を小さくするよう薬の種類や量を見直せば、再発は予防できます」と話す。
双極性障害の治療の三つの役割
▽うつ病と区別しにくく診断が困難
双極性障害の発症原因はいまだ不明だが、再発率や自殺のリスクが高いことが特徴だ。社会生活に大きな影響を及ぼすのは、気分が高揚する躁症状だが、患者本人が苦しみを感じるのは、気分が低下し、悪化すると自殺願望が強くなるうつ病である。
この病気は、躁症状の程度によって1型(強躁状態)と2型(軽躁状態)に分類される。秋山部長は「最初はうつ病で受診される患者さんが多く、その後、躁に転じることで初めて診断されるケースが目立つ」と説明する。
特に2型の場合、うつ病と区別がつきにくく、しばしば診断が困難とされる。うつ病と誤診され、抗うつ剤を服用すると、躁に転じて症状が悪化する可能性があるため、注意が必要だ。秋山部長によると、現在、病気の初期段階で診断を可能にするツールの研究が進められているという。
▽躁の兆候に気付き、早めに対処を
治療の基本は、気分安定薬による薬物療法。うつ病や躁の程度などにより、炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンといった薬を使い分ける。それでも効果が不十分、または副作用で治療継続が難しく、早急に症状を鎮静化したい場合には、非定型抗精神病薬であるオランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン(保険で同障害への使用が認められているのは徐放製剤のみ)が用いられる。薬が効かないケースには、脳の神経に電気刺激を与える通電療法が有効である。
再発予防のために大切なのは、生活リズムを整えるとともに、気分変動の傾向を把握すること。この点で、起床時間や食事の時間、日中の活動内容などを書き込む活動記録表が有用であり、薬の種類や量の調節にも役立つ。秋山部長は「活動記録表の活用により、どのようなときに躁に転じるか、早めに気付くことができます。その兆候を知り、薬を服用したり、生活習慣を見直したりすることで、再発の予防が可能になります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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