急性感染症 家庭の医学

 通常は人体にいない病原微生物による感染症で、人体に侵入すれば発症する可能性の高い病気です。
 細菌感染症では腸チフス細菌性赤痢ペスト、あるいはコレラ、リケッチアでは発疹(ほっしん)チフス、ウイルスでは日本脳炎などです。病原微生物の侵入から発症までを潜伏期といい、数日間単位のものが多く、長くても数週間以内です。
 ちなみに「検疫」は英語でquarantineといいますが、イタリア語のquarantena giorni(40日間)に由来します。これは、むかし外国から来た船を沖合に40日間停泊させ、この間にその船の中でペストやコレラなどの感染症(疫病)が発症しないことを確かめてから入港を許可したことに由来します。急性感染症の潜伏期が、長くても40日間ぐらいであることを古人は経験的に知っていたのでしょう。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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