【ハタイ時事】トルコ南部ハタイ県の中心部アンタキヤ地区では、大地震から半年となった現在も大破したビルの解体が行われ、粉じんが舞う中でテント生活を送る被災者もいる。日中の気温が40度前後という酷暑の中、インフラ復旧の遅れで不潔な水を使わざるを得ず、衛生環境の悪化は深刻だ。
 倒壊した自宅の脇に設置された青いテントで暮らすジェバト・オルデクさん(60)と母親のアリエさん(82)。自宅入居先の建物のがれきは既に撤去されたが、周辺一帯で解体作業が続き、ドンという音と共に大量の白い粒子が舞う。
 オルデクさんは慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)に悩むが「汚れた空気から身を守るのは不可能だ」と話す。薬の投与で用いる吸引器は「電気がないので使えない」。食事は1日2回のボランティアの配給に頼る。大型ポリタンクに入った200リットルほどの水は「600リラ(約3200円)で買った」が、その水面は黒い粒や白い粉で覆われていた。
 アリエさんは「実は(水代は)100リラ足りず、その分は後払いにしてもらった」とつぶやいた。「夜テントで横になったらドブネズミが体に飛び乗ってくる。一体、他の誰がこんな所に住めるものか」と語り、目に涙をためた。
 ハタイ県の医師会によると、地震で水道管や貯水池が損壊し、上水と下水が混ざる事態も起きている。仮にテント暮らしでなくても、安全な水は保障されていない。 (C)時事通信社