日本専門医機構は本日(8月21日)開いた記者会見にて、甲南医療センター(神戸市)で男性専攻医の高島晨伍さんが過労により自殺した問題について、理事長の渡辺毅氏が見解を表明。「非常に残念な出来事であると受け止めているが、今回の件はあくまで該当施設と研修医の労働契約に関わる事案であり、機構から直接的に対応する予定はない」と静観の構えを示した。また会見では、来年度(2024年度)から開始する専門医研修の採用スケジュールも発表された。(関連記事「専門医研修でのハラスメント対策に着手」)。
「現行の研修制度とは無関係」
今回の問題について、渡辺氏は「専門医機構が運用している専門医研修制度、研修プログラムなどが原因となったわけではない」と説明し、「該当施設や遺族から相談や訴えなどがあれば当然対応するが、今のところ機構から積極的に何かを働きかける意向はない」と述べた。
また、今回の問題において、自殺した研修医の労働時間に含むか否かで労働基準監督署と甲南医療センターの間で意見が分かれている「自己研鑽」の定義については、「個人の自主性、自由意思によってなされるべきものである」との考えを示した。
パワハラが確認されれば倫理委員会で対処
さらに渡辺氏は一般論として、「過重労働の要因にはパワハラなどが存在する場合がある」と指摘し、「今回の事案にそういった類の影響が存在したかどうかは不明だが、機構の倫理委員会にて専門医研修においてパワハラが生じた場合、どのように対処すべきであるかという点について検討している」と補足した。
機構では約2年前、ハラスメント対策委員会を設置していたが、現在は倫理委員会に吸収合併されている。
来年度の専攻医1次募集は11月から
会見では、来年度における専門医研修専攻医の採用スケジュールも示された(表)。専攻医の1次募集は11月1日正午からで、2次募集や採用調整期間を経て、来年2月までにすべての採用結果が通知される見込みである。
表. 来年度の専攻医採用スケジュール
(専門医機構記者会見資料)
(陶山慎晃)