イラン・Kermanshah University of Medical SciencesのSousan Heydarpour氏らは、同国の閉経後女性64例を対象に、エストロゲン様作用を有するセージ（Salvia officinalis）の精油（エッセンシャルオイル）を用いたアロマセラピーの効果を二重盲検ランダム化比較試験（RCT）で検討。その結果、アーモンドオイルを使用した対照群と比べてセージオイルの使用群は使用開始後6週時点の性機能および性的満足度のスコアが有意に高かったとBMC Women's Health（2023; 23: 442）に発表した。
1日2回、前腕にオイルを塗布して芳香を吸入
閉経後の各種症状の予防や性的QOLの改善にホルモン療法が用いられるが、副作用への懸念から代替療法に対する関心が高まっている。そこでHeydarpour氏らは、セージオイルを用いたアロマセラピーの効果を二重盲検RCTで検討した。
イランの4カ所の施設で、閉経後女性64例（平均年齢58.59歳）をセージ群と対照群に１：１でランダムに割り付けた。セージ群は濃度10％のセージオイル、対照群はアーモンドオイルを用い、6週間にわたり毎週連続5日間、1回2滴を1日2回前腕の皮膚に塗布し芳香を5分間吸入した。
性機能の評価にはFemale Sexual Function Index（FSFI）質問票を用いた。FSFIは性欲、性的興奮、腟潤滑、オーガズム、性的満足、性交痛の軽減の6領域19項目の合計スコアで性機能を評価する（範囲2～36、高スコアほど性機能が良好、28未満で性機能障害）。また、性的満足度を17項目の質問票Linda Berg's Sexual Satisfaction Questionnaireの合計スコアで評価した（範囲17～85、高スコアほど満足度が高い）。
FSFIスコア、性的満足度スコアが有意に改善
解析の結果、介入前のFSFI合計スコアはセージ群と対照群で有意差がなかった（15.96±1.71 vs. 15.59±1.44、P＝0.39）。しかし、介入後6週時点のFSFI合計スコアはセージ群で有意に高かった（28.28±2.13 vs. 17.9±1.59、P＜0.001）。
また、対照群では介入前後でFSFI合計スコア（P＝0.19）および各領域のスコアに有意差がなかったが、セージ群では介入後に全てのスコアが有意に上昇していた（全てP＜0.001）。
性的満足度の合計スコアも同様に、介入前はセージ群と対照群で有意差がなかったが（46.00±10.06 vs. 48.35±13.73、P＝0.89）、介入後6週時点ではセージ群で有意に高かった（71.53±5.86 vs. 50.44±10.41、P＜0.001）。対照群では介入前後のスコアに有意差がなかったが（P＝0.18）、セージ群では介入後にスコアが有意に上昇していた（P＜0.001）。
以上を踏まえ、Heydarpour氏らは「セージオイルのアロマセラピーは閉経後女性の性機能および性的満足度を改善し、副作用は認められなかった」と結論。「より長期間の臨床研究で今回の結果を確認する必要がある」と付言している。
（太田敦子）
