高齢関節リウマチ(RA)患者への低用量ステロイドの長期投与が、体重および体組成に及ぼす影響は明らかでない。オランダ・Maasstad HospitalのMelek Güler-Yüksel氏らは、疾患活動性を呈する高齢RA患者に対するプレドニゾロン5mg/日の2年間追加のリスク・ベネフィットを検討した二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)GLORIAの一環として、体重・体組成への影響を評価。プラセボ群と比べ約1kgの体重増加が見られたこと、体組成評価では主に除脂肪体重の増加が示唆されたことをRMD Open2023;9:e002905)に報告した。

約450例をランダム化、一部で体組成も評価

 RA患者では、炎症と関節破壊よるエネルギー代謝の亢進と身体活動の低下を通じて、除脂肪体重は減少するが脂肪量は変化しないというリウマチ性悪液質が生じる。除脂肪体重の減少は筋力低下や身体障害をもたらし、体脂肪の再分布や蓄積はメタボリックシンドロームや心血管イベントのリスク増につながる。

 炎症抑制目的でRAに投与されるステロイドも体重増加と関連しており、サルコペニアと肥満の合併を引き起こすリスクが懸念されていた。

 GLORIA試験では、欧州7カ国で65歳以上の活動性RA患者451例を、標準治療にプレドニゾロン5mg/日を追加する群とプラセボ追加群に1:1でランダムに割り付け2年間追跡した。

 ベースライン時および3、6、12、18、24カ月後に体重および28関節疾患活動性スコア(DAS28)を測定。また、57例でベースライン時と2年後に二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)により体組成を評価した。データの解析には線形混合モデルを用いた。

体重変化と疾患活動性に関連なし、脂肪量も有意に増加せず

 ベースライン時の年齢は72歳、RA罹患期間は11年、DAS28は4.5(いずれも平均値)で、女性は70%だった。試験治療を受けなかった2例を除く449例を今回の安全性解析に組み入れた。

 プラセボ群では体重が平均0.4kg減少(95%CI -1.1~0.2kg)したのに対し、プレドニゾロン群では平均0.9kg(同0.3~1.6kg)増加した(群間差1.3kg、95%CI 0.5~2.2 kg、P<0.01)。2年間で2kg超の体重増加が見られたのは、プラセボ群の18%、プレドニゾロン群の29%だった(P=0.035)。

 体重変化と疾患活動性の変化との間に有意な関連は認められなかった(交互作用のP=0.18)。

 体組成評価では、プレドニゾロン群の体重増加は、総脂肪量の有意な増加や末梢から体幹組織への脂肪の再分布ではなく、主に除脂肪体重の増加、四肢の筋肉量の増加によるものだった。

 以上から、Güler-Yüksel氏らは「65歳以上の活動性RA患者へのプレドニゾロン5mg/日の2年間追加投与により、プラセボ群と比べ体重が約1kg増加した」と述べている。また体組成評価については、症例数が少ないと断った上で「これまで、ステロイド治療による体重増加は脂肪量増加や脂肪の再分布と関連付けられてきた。しかし今回のデータから、低用量プレドニゾロン追加による若干の体重増加は、主に除脂肪体重の増加によるものであることが示唆された」と考察している。

※Glucocorticoid Low-dose Outcome in RheumatoId Arthritis

(小路浩史)