【杭州時事】中国・杭州市で行われるアジア大会の開幕を23日に控え、公式マスコットの縫いぐるみ生産が佳境を迎えている。紡績会社「杭州久積」(本社・杭州市、事務所・岐阜県)では、中国にある五つの工場で1日1万個を生産。中国における関連製品の売上高はここ数年で最大だといい、「五つでも工場が足りない」とうれしい悲鳴を上げる。
 今大会の公式マスコットは「宸宸(チェンチェン)」「※※(※王ヘンに宗)(ツォンツォン)」「蓮蓮(リェンリェン)」。唐代の詩人、白居易が詠んだ名句をテーマに、それぞれが杭州の世界遺産である運河、遺跡、湖を表現している。
 開幕を3日後に控えた20日、市内の生産現場では、宸宸などの縫いぐるみの縫製や検品作業が夜遅くまで続いていた。計約40種類のデザインのマスコットを生産。「需要は多い」といい、フル稼働だ。
 マスコットの生産は、新型コロナウイルスの感染拡大で大会が1年延期となったことによる影響を受けた。2022年2月の北京冬季五輪では公式マスコットのパンダ「ビンドゥンドゥン」が人気となり、グッズの売り切れが相次いだ。当初同年9月に開催予定だったアジア大会のマスコットも「早く買った方がいい」と口コミで広まり、売り上げは順調だったが、延期決定でブームは下火に。昨年の干支(えと)にちなんで企画されたトラのデザインも越年で立場を失った。
 現在は人気が戻り、1日の売り上げは約100万元(約2020万円)に上るという。同社の担当者は「マスコットは杭州の名刺のようなもので、中国と世界をつなぐ架け橋だ」と強調。世界各国の選手や関係者に「マスコットを通して杭州を好きになってほしい」と期待を語った。 (C)時事通信社