性感染症梅毒患者報告数が2年連続で1万人を超えたことが、国立感染症研究所の調査で分かった。現在の調査方法となった1999年以降で初めて1万人を超え、過去最多だった昨年より2カ月近く早い大台突破だが、明確な理由は分かっていない。厚生労働省は不安な場合は検査を受けるよう訴えている。
 梅毒は「梅毒トレポネーマ」と呼ばれる細菌による感染症。主に性的接触でうつり、性器などにしこりができた後、リンパ節の腫れや全身の発疹といった症状が出る例が多い。放置すると脳や心臓に将来、重大な合併症が出る恐れもあるが、早期に正しく治療すれば完治が可能だ。
 患者報告数は、2021年が7978人、22年は1万3228人(速報値)と過去最多を更新し続けている。今年は9月3日時点で1万人を超え、10日時点では1万396人(同)に上る。
 都道府県別の最多は東京で2550人。大阪1412人、福岡605人、愛知601人、北海道489人と続き、都市部で目立っている。男性は20~50代、女性は20代で多いのも特徴だ。
 感染研によると、2000年代の患者報告数は500~900人程度だったが10年代に入って増加傾向となり、新型コロナウイルス流行下で大幅に増えた。SNSで出会った不特定多数との性行為などが原因とされるが、理由ははっきりしない。
 母子感染による「先天梅毒」も18年以降は年20人前後報告されるなど高い水準が続く。厚労省などは、コンドームの適切な使用や、不安がある場合は医療機関や保健所で検査を受けることを呼び掛けている。 (C)時事通信社