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はしか、海外から流入
20年オリ・パラへ対策を―東京都医師会

 米国ニューヨーク市ではしかが流行し、同市は4月、公衆衛生上の非常事態を宣言した。フィリピンでは1万2千人以上が感染、200人以上が死亡したと報告されている。国連児童基金(ユニセフ)も、2018年に世界98カ国ではしかの患者が増加したと警鐘を鳴らした。
 現在、乳幼児期の予防接種の普及により日本国内での大規模な流行は起きていないが、成田空港第2ターミナルに勤務する20代の男性が、はしかに感染していたと千葉県が4月30日に発表。海外から流入したはしかウイルスが、予防接種を受けていなかったり、受けていても抵抗力(抗体価)が低下したりしている人にしばしば感染して発症することがある。来年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、東京都医師会ははしかの予防や感染拡大防止のための提言をまとめた。

海外では制圧されずに流行しているはしか

 ◇危険な「中間世代」

 はしかは、ウイルスによる感染症だ。空気感染のため伝染性が強く、有効な予防策はワクチン接種以外にないとされている。感染しても多くは発疹や発熱などを経て自然に治癒するが、まれに脳症などを併発して命を落とすことがある。

 日本でははしかのワクチンが1978年から子どもを対象にした義務接種となった。それ以前は頻繁に流行していたため、現在55歳以上の多くは乳幼児期にはしかを経験している。このため、ほぼ全員が感染して免疫を獲得している。また、29歳以下は20歳までにワクチン接種を2回は受けている。

 同医師会疾病対策(感染症)担当理事で、渋谷区内で小児科医院を開業している川上一恵医師は現状をこう分析した上で「問題はその間の世代だ。ワクチン接種が不十分な中で、流行が抑制されていた。このためワクチン接種を受けず、感染もしないまま成人に達した人が一定数いる。ここ数年の流行の多くは、この世代が海外で感染して国内に持ち込んだり、日本を訪れる外国人によって持ち込まれたりすることがきっかけになっている」と指摘する。

川上一恵東京都医師会理事

 ◇2回予防接種の徹底

 定期接種が1回接種だった時期もあり、現在十分な免疫力(抗体価)を持っていない国民も一定数いる。このため帰国した海外旅行者や入国した外国人から感染した患者が別の人に感染させる2次または3次感染も起こり、2019年も既に全国で382人(4月10日集計)の感染が報告されている。

 世界各国から選手や関係者、観客が集まるオリンピック・パラリンピックでは流行国からの患者の流入も増えることが予想されるため、同医師会は早期の対策の実施を求めている。医師会の提言は、免疫力を高める2回の予防接種の徹底や患者の早期発見に努めることが中心で、今後、国や関連機関に要望していくとしている。 

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