政府は、賃貸住宅の入居を拒まれることがある単身の高齢者らを支援するため、社会福祉法人などによる見守りや安否確認サービスが付いた住宅の制度化を検討している。家賃の滞納や死亡後の対応に関する大家の不安を軽減し、貸し出しやすい環境を整える。医療や介護といった入居者の事情に応じた適切な支援にもつなげる。
 国土交通、厚生労働、法務3省の合同検討会で議論しており、年内にも具体案をまとめる予定。高齢者や障害者、生活困窮者らを支援する「住宅セーフティーネット法」の改正案を、来年の通常国会に提出することも検討している。
 現行法では、高齢者らの住まい確保を後押しする地域の社会福祉法人やNPO法人を、自治体が「居住支援法人」に指定する仕組みがある。ニーズに合った物件を紹介するなど部屋探しを中心にサポートしている。
 支援法人の中には、所有する物件や借り上げた部屋を通じて、入居後の生活支援に自主的に取り組むところもある。例えば▽職員が定期的に巡回して安否確認する▽医療や介護など必要な支援につなげる▽家賃債務保証の契約に関して、入居者の家族らに代わって法人が緊急連絡先となって家賃滞納に対応する―といったケースがある。
 支援法人の負担が大きく、まだ事例は少ないが、政府はこうしたサービス付き住宅の普及が大家の拒否感や不安を解消し、高齢者らの住まい確保につながると判断。一定の機能を備えた住宅を新たな制度として位置付けた上で、法人への支援を充実させる。 (C)時事通信社