治療・予防

おなかの張りやげっぷ
~呑気症(芝大門いまづクリニック 今津嘉宏院長)~

 日常的に胃の痛みや不快感を覚えたり、おなかが張ったり、げっぷやおならが頻繁に出たりする呑気症(どんきしょう)。「呑気症という病名の認知度が低い一方で、症状を訴える人は珍しくありません。原因は明らかにされていませんが、生活習慣や精神的なストレスとの関連が強いと考えられています」と、芝大門いまづクリニック(東京都港区)の今津嘉宏院長は話す。

おなかの張り、頻繁なげっぷやおならが特徴

おなかの張り、頻繁なげっぷやおならが特徴

 逆流性食道炎にも

 呑気症は、空気嚥下(えんげ)症とも呼ばれる。「飲食の際などに一緒に飲み込んでしまった大量の空気が胃にたまり違和感を覚え、それを解消しようとさらに空気を飲み込んでしまい、症状が表れます」

 胃にたまった空気が逆流して口から出てくる場合はげっぷに、小腸を経由して大腸にたまった空気がおならになる。その他、胃もたれ吐き気などを引き起こすことも。早食いや大量に一気飲みすることなどで空気を大量に飲み込んでしまったり、精神的ストレスを抱えていたりすることなどが原因と考えられている。特に緊張や不安が大きいときに起こりやすいという。

 げっぷが頻繁に繰り返し出ることで、胃酸が逆流して食道が炎症を起こす逆流性食道炎につながったり、胃が張ったり痛みを伴うげっぷが出たりする人は胃炎や胃潰瘍の可能性もあるので、注意が必要だ。

 ◇漢方で改善期待

 呑気症は西洋医学的に原因が明らかになっていないため、診断基準や治療法はまだ確立していない。「そのため、レントゲンやバリウムなどの検査で他の病気の可能性を除外したり、鎮吐薬や消化酵素薬などの治療法に加え、東洋医学的な観点から漢方薬を用いたりする治療も行われています」

 例えば、漢方薬の桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)などは不安感や緊張感が強い人に効果があるとされる。半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は機能性ディスペプシア(消化不良)に用いられるが、消化器症状を改善するため呑気症の改善が期待できるという。

 食事や水分を取る際、大量の空気を飲み込まないように気を付けたり、時間をかけて食事をしたり、運動などでストレスを解消するなど、日ごろの予防が大切だ。

 「呑気症を疑ったら、食生活や睡眠などの生活習慣を見直すとともに、一度、消化器内科で診てもらうと安心でしょう」と今津院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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