能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市や輪島市と、比較的被害が軽微な金沢市の中間地点にある七尾市。今後、復旧活動の拠点としての機能を期待されるが、今なお、市内ほぼ全域で断水が続く。断水は避難所運営にも支障を来しており、市職員は「水さえ出れば…」と嘆く。
 七尾市は能登半島の中央に位置し、富山湾に面している。同市も5人が死亡、9000棟以上が被害を受けるなどした被災地だが、より被害が深刻な奥能登には、道路の復旧が進めば、車で1時間~1時間半程度でアクセスできる。
 復興活動の拠点として見込まれるのは、こうした立地からだが、市内全域の断水が解消するのは4月以降になる見通しだ。22の宿泊施設が集まる「和倉温泉」全体で営業再開のめどが立たず、市担当者は「復興に携わる事業者らの宿泊場所を用意するのも難しい状況」と話す。
 断水は避難所の衛生環境にも影響している。市内に26カ所ある避難所には、自宅が無事でも、「水がないと生活できない」と、給水車が来る避難所に身を寄せる市民も多い。ただ、避難所では新型コロナウイルスインフルエンザなどの感染症がまん延し始めており、コロナ陽性になった避難者からは「断水した家で自宅待機できないし、避難所にも戻れない」との声も出ている。
 市内の中核病院「恵寿総合病院」の神野正博理事長は「避難所から来院する人のコロナ陽性は目に見えて増えており、職員にも広がりつつある。ピークはこれからだ」と危機感を募らせている。 (C)時事通信社