能登半島地震で大きな被害を受けた石川県内の被災地では、断水や道路の寸断、担い手不足から、被災者が身を寄せる避難所や自宅などにごみが堆積している。「汚物の入った袋もたまる一方だ」との悲鳴も上がり、石川県は県内外の業者を派遣して生活ごみなどの回収支援に当たっているが、対応が追いつかない状態が続いている。
 輪島市の避難所となっている鳳至公民館では、敷地内にごみが山積みになっている。各家庭のごみ収集は地震発生後、再開されておらず、避難所に持ち込む近隣住民も多いという。
 避難所を管理する市の40代男性職員は「収集車が来ても、断水でトイレが流せないため、汚物の入ったごみの袋がたまる一方だ」と頭を悩ませる。「1日おきに回収してもらうのが理想だが、周辺では2台ほどしか稼働していないようで、頻度は上がらない」と明かす。
 自宅が損壊し、市内の親族宅に身を寄せる女性(76)は「地震以降、ごみ収集は全く来ていない」と困り果てていた。家の中にはごみの入った大きなポリ袋が10袋ほど積まれている。汚物の入った袋に凝固剤を入れて臭いを抑えているが、女性は「収集に早く来てほしい」と訴えた。
 珠洲市三崎町で津波被害を免れた自宅に家族4人ととどまる男性(40)は「避難所は不定期で収集できているが、家に避難しているとたまってしまう」と語る。「地震から2日後には支援物資が届くようになったが、食べ物、トイレの紙の量が多い。慣れてしまったが臭いもする」と話した。
 県は12日から県内の他の自治体や福井県、名古屋市の収集車を輪島、珠洲、七尾、能登、穴水5市町に派遣し、台数の増強などを検討している。
 輪島市も市外の収集業者に協力を依頼し、15日から生ごみなどは週2回の頻度で回収に当たる。担当者は「市内の業者が被害を受け、十分な台数は確保できていないが、支援も受けながら収集再開に努めたい」と話す。 (C)時事通信社