新型コロナウイルスインフルエンザが同時流行している。どちらも患者報告数は高止まり状態が続き、新型コロナによる入院者数は昨年夏の流行「第9波」並みの高い水準だ。専門家は「マスク着用や手洗い、換気といった基本的な感染対策をしっかり続けてほしい」と話している。
 新型コロナは昨年5月、感染症法上の位置付けがインフルエンザと同じ5類に移行した。それを受け厚生労働省は現在、両方の流行状況については全国約5000の定点医療機関からの患者報告数を基に推計している。
 今月11日までの1週間に報告された新型コロナ感染者は1機関当たり13.75人。都道府県別では、石川(21.91人)が最多で、愛知(20.06人)が続く。全国平均としては約3カ月ぶりに減少に転じたが、流行の「第10波」とも言える勢いだ。免疫を回避しやすいとされる新変異株「JN・1」の検出割合が増えている。
 同期間に全国約500の定点医療機関から報告された新規入院者数は3257人で、「第9波」と同程度だ。重症化リスクが高い70歳以上の高齢者が7割超を占める。
 インフルエンザは1機関当たり23.93人で、昨年12月上旬のピーク時より約3割減ったが、5週連続で増えた。最多は福岡(56.48人)で、佐賀(38.15人)が続く。計44都道府県が注意報の基準(10人)を超えている。
 東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は「新型コロナの感染拡大はピークを越えつつあるが、依然として再拡大の可能性がある」と指摘。インフルエンザの流行は3月に入り暖かくなるまで続く恐れがあると分析する。
 浜田氏は「人混みの場所に行く際のマスク着用や、手洗い、換気の継続が重要だ。体調が悪かったら自宅療養するなどの拡大防止策をきちんと取ってほしい」と話している。 (C)時事通信社