治療・予防

不妊治療、継続か延期か 
「コロナ不安」で悩む女性たち

 新型コロナウイルスによる感染が続く中で、子どもがほしいと望む人たちの悩みは大きい。アンケート調査によると、多くの女性が胎児への影響を不安に感じるとともに、妊活と不妊治療を続けたいとの回答がかなりの数に上った。専門家はそうした切実な声に理解を示した上で、かかりつけ医らに相談することを強く勧めている。

新型コロナウイルスへの不安

 ◇胎児への影響、過剰な心配しないで

 調査は、健康情報サービス「ルナルナ」が4月10~12日、インターネットを通じ全国の10代以上の女性10129人を対象に実施した。

 新型コロナウイルスの感染拡大について、妊婦はどのような不安を持っているのか。トップは「感染した際の胎児への影響」91.0%で、「感染した際の自身の重症化」74.3%が続いた。「出産後の子どもへの影響」も69.1%とかなり高い数字に達した。

 愛媛大学大学院教授(産科婦人科学)の杉山隆氏は「赤ちゃんへの影響を心配されるのは当然だと思う。お母さん自身への影響が心配なのももっともだ」とした。その上で、「現時点で赤ちゃんへの影響を疑う報告はごくわずかで、明らかなリスクは報告されていない。また、妊婦自身の症状が重くなるということはなさそうだ。過剰な心配は必要ない」と話すと同時に、何か疑問があった場合はかかりつけ医に聞くことを勧めている。

妊婦へのサポート

 ◇サポート不十分と感じる

 新型コロナウイルス感染防止のための妊婦へのサポートが十分かを尋ねたところ、「不十分だと思う」が68.4%と、「十分だと思う」の24.1%を大きく上回った。具体的に求めるサポートとしては「妊婦や妊婦がいる世帯への優先的な消毒液の支給」68.7%、「妊婦や妊婦がいる世帯への優先的なマスクの支給」62.2%、「産婦人科の医療従事者への優先的な感染防止対策」60.8%などとなっている。

 自由回答では、妊婦の不安な時期に周囲の支えで救われたという声も目立った。

「職場のメンバーが妊婦に対応してほしいと会社側に訴えてくれた」
「在宅勤務と無理のない働き方を推奨してもらっている」
「『この時期に生まれてくるからには意味ある子だよ』と励ましてもらえた」
「友人が手作りのマスクをくれた」

 妊婦に対する周囲の励ましが大切なことが分かる。

妊活・不妊治療をどうするか

 ◇不妊治療の継続、延期で割れる意見

 新型コロナウイルスの影響を踏まえ、日本生殖医学会は会員向けに「妊娠中に使える予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示していただくよう推奨いたします」という声明を出した。アンケート調査によると、医師に向けた声明にもかかわらず、妊活や不妊治療をしている女性の5割近い女性が知っていた。

 では声明を受けて判断は変わったのだろうか。

 今後の方針について最も多かったのは「妊活・治療を継続する」の48.1%で、次が「しばらく様子をみて、判断する」の23.9%だった。「まだ迷っている」とする回答も12.8%あった。

 声明自体については「理解はするが、受け入れられない」が43.0%と最も多いが、「当然のこととして受け入れる」も34.0%あった。子どもを望む気持ちと新型コロナウイルス感染症への不安の間で揺れる心理がうかがわれる。

 自由回答でも、「パートナーが『妊活は中断しない』と言ってくれた」「年齢的にも妊娠の確率が低くなってきていることを踏まえ、一度でもチャンスを逃したくないという思いを夫に伝えたところ、同じ思いですぐに同意してくれた」などの意見の一方で、「『授からないけど、新しい命を救っていると捉えよう』とパートナーに言われた」「夫が『新しく宿る命以上に私の命が大切』と言ってくれた」など、不妊治療の延期に賛成する声も聞かれた。

 ◇かかりつけ医に相談を

 「不妊症の原因は多岐にわたる。女性の年齢が高くなるとどうしても妊娠率が下がるので、妊活・不妊治療を継続する率が高くなるのは当然かと考える。一方、1~2カ月程度、感染拡大の状況をみながら経過をみる人がいることも事実だと思う」。杉山氏は調査結果をこう受け止める。妊婦や妊活・不妊治療を受けている人たちの不安を踏まえ、「ネットの情報では切り口により不安が募ることになりかねない。疑問や不安があれば、かかりつけ医やスタッフに聞いてほしい」と重ねて強調した。(鈴木豊)


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