インフルエンザの猛威が収まらない。各地で休校が相次ぐ中、専門家は今季(今年秋~来年夏)の流行は年末にピークを迎え、感染規模も例年より大きくなる可能性があると指摘する。冬は新型コロナウイルスとの同時流行も懸念される。
 厚生労働省はインフルエンザについて、全国約5000の定点医療機関を受診した患者数を集計している。新型コロナ出現後は目立った拡大はなかったが、昨年12月下旬には患者数が1機関当たり「1人」を超え、3年ぶりに流行入りした。
 厚労省によると、今年10月22日までの1週間に報告された患者数は同16.41人。前週比1.48倍で、注意報の基準(10人)を2週連続で超えた。都道府県別では愛媛が最多39.90人で警報の基準(30人)を上回り、千葉29.39人、埼玉28.41人、福島27.09人、兵庫23.36人が続く。
 休校や学年閉鎖、学級閉鎖となった小中学校などは前週比2倍超の3751施設。入院患者届け出数も幼児や高齢者を中心に増え続けている。
 今季は昨年からの流行が春夏を経ても続く異例の事態となっている。流行が長期間なかったことによる免疫低下や人の往来増が要因とされる。
 流行のピークは例年1~2月だが、東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は「予測の参考となる米国の状況から考えると、今季は年末ごろにピークを迎えるのでは」と話す。国内患者数は例年推計1000万~1500万人程度だが、浜田氏は「人々の免疫が低下しており、今季はもっと大規模になる恐れがある」と警鐘を鳴らす。
 一方、新型コロナの患者報告数は9月上旬をピークに減少が続く。浜田氏は「新型コロナは毎年冬に拡大しており、冬に入って流行が再燃する可能性がかなり高い」と分析。「今冬は両者が同時流行する『ツインデミック』が起きる恐れが強い。手指消毒やマスク着用に加え、重症化しやすい高齢者などはワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。 (C)時事通信社