神経痛(三叉神経痛)〔しんけいつう(さんさしんけいつう)〕

 口に関係する神経痛としては三叉神経痛、舌咽(ぜついん)神経痛、迷走神経痛などがありますが、三叉神経痛がもっとも多くみられます。
 いずれの神経痛も、真性(突発性)神経痛となにか別の病気による仮性(症候性)神経痛に分けられます。

■三叉神経痛
 真性三叉神経痛は痛みのなかでもっとも激烈です。その特徴は発作性電撃様激痛として表現されています。ある特定のところに刺激が加えられると、その神経に沿った場所に突然電気が走るような激しい痛みが誘発されます。また、三叉神経が骨から出る場所、すなわち目の上、目の下、下くちびるの下では皮膚の上から押すと痛みが出現し、その症状が確認できれば診断の助けとなります。この激痛は少したつと自然におさまることもあります。
 三叉神経に沿った痛みですから片側に発症し、両側性に発症することはほとんどありません。40歳以上の女性に多くみられます。
 仮性三叉神経痛は原因によって症状が異なります。痛みの出るところが三叉神経に沿っていないこと、痛みがそれほど強くないこと、痛みが長く続くことなどが真性の三叉神経痛とは異なります。

[治療]
 真性三叉神経痛は鎮痛薬では痛みがおさまりません。抗けいれん薬であるカルバマゼピンで効果が得られます。神経ブロックも効果的です。それでも効果がない場合には、三叉神経に接している血管を移動させ、離して固定する手術(微小血管減圧術、ジャネッタ手術)が脳神経外科でおこなわれることがあります。
 仮性三叉神経痛では、原因となっている歯髄(しずい)炎、顎(がく)炎、腫瘍、嚢胞(のうほう)、顎関節症などの治療によって痛みがおさまります。

【参照】脳・脊髄・末梢神経・筋の病気:三叉神経痛

(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)
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