PR

◎増加する訪日客、求められる語学能力
=将来見据えた国際医療英語検定=

 2016年の訪日外国人は約2404万人(日本政府観光局発表)。東京オリンピック・パラリンピックに向け、訪日外国人数は一層増える見込みだ。在留外国人も16年には過去最多の238万人(法務省)に達している。

 こうした状況下、日本の医療機関を訪れる外国人も増加中だ。患者のグローバル化に医療の現場では、英語をはじめとする外国語の対応が急がれている。

 医療スタッフの英語運用能力向上を目指した事業を行っているグローバルヘルスケア財団の林依里子氏に話を聞いた。

◇不十分なコミュニケーション

 11年に始まった「CBMS(Certification for Bilingual medical staff)」はこうしたニーズに応え医療英語に特化したグローバルヘルスケア財団主催の試験だ。現在、年に1回、東京と名古屋で実施されている。

 同財団で評議員を務める林氏は「ここ数年、英語の対応に迫られている病院が非常に増えていますが、英語でコミュニケーションできる現場の医療スタッフ数は、残念ながら十分ではありません」と話す。

 林氏自身、数年前に友達の米国人から「手術を受けるのだが、医師や看護師も英語でのコミュニケーションが苦手で十分な説明をしてくれない」と連絡を受け、入院先に赴いた経験がある。患者に対し、病状や治療について正確に分かりやすく説明したり、不安を軽減したりするような英語のコミュニケーション力が求められているのだ。

 一方、通訳に入ってもらう場合は「医療分野の専門的英語や医療知識が必要となります」と林氏は語る。

◇必要な英語力を効率的に学ぶ

 CBMSの問題はリスニング60問、リーディング60問の800点満点。医療関連の専門語彙(ごい)、医療現場での会話やショートスピーチの内容を問う問題、さらに一般的な英語の運用能力、医療の知識が必要となる問題など多岐にわたる。

 「試験を受けることで、医療現場で必要な英語や正しい発音などを効率的に学んでいけると思います」と林氏は言う。認定試験ばかりでなく、スプリングターム、オータムタームでの医療英語セミナーを東京、名古屋で開催している。

 グローバル化し、英語での対応が求められている医療スタッフに、何よりも大切なのは日本人の患者と同じように外国人の患者と向き合う姿勢だと林氏は強調する。

 「看護師さんが、〝ハロー〟とひと言あいさつして相手の名前を呼ぶだけでも、患者さんはとても安心します。医療スタッフの皆さんには、まず患者さんとコミュニケーションを取ろうとしていただきたいですね」

 今後はCBMSの受験者数を増やし、全国的に認知度を上げていくことを目指す。CBMSのスコアを評価し、高スコアを取得したスタッフの昇給につながるよう医療機関への働きかけも始めた。

【受験者の声】
◇「正確な情報を伝える役目」

 小松まりなさん(愛知県豊橋市の病院でポルトガル語・英語の医療通訳として勤務)

 ブラジルに育ち母語はポルトガル語です。豊橋市はブラジル人の方が多く住んでいて来院者も多いことから、13年前から今の病院でポルトガル語の医療通訳として働き始めました。最近は英語を話す外国人の来院も増え、英語の勉強も始め、CBMSを受けています。腕の血管部位の名称や検査内容を問う問題など、英語力と医療知識の両方が必要とされる試験ですね。通訳は医師や医療スタッフと患者さんをつなぐ役目。何よりも正確さが大切です。救急車が到着したときは、患者さんに安心感を与えながら、大切なことを聞き出すサポートができるか、本当に緊張します。試験勉強で覚えたことを現場で使い、現場で疑問に思ったことを調べながら、少しずつ医療英語を身に付けています。

◇「英語の奥深さを実感」

 神奈川で医療通訳ボランティアをしている男性

 企業で英語の通訳、翻訳の仕事をしているかたわら、主に神奈川県の病院で医療通訳ボランティアをしています。ビジネスで使われる語彙と医療現場の語彙は大きく異なり、さらに診療科によっても専門用語が違います。このため全診療科について、網羅的に医療用語を学びたいと考えCBMSに挑戦。試験内容はコミュニケーションを重視したもの、実際に医師が患者に病気の説明をする英語表現などが出題されています。最近の治療法など、医療知識を知らないと解きにくい問題もあり、試験を通じて医療の状況を学べます。医療通訳として現場にいると、医療的知識や医療の専門用語が必要な一方、患者さんに家族のことや生活習慣などを聞く一般的な英会話表現も必要になります。医療現場での英語というのは、実に幅広く奥深いものだなと感じています。(了)

お申し込みは、以下のサイトから。
http://cbms.jp/ex-introduce.html