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フォークト・小柳・原田病(原田病)は、メラニン色素の細胞が多い目や耳、脳を保護している髄膜、皮膚や毛髪などに炎症が起こる病気で、日本や中国、韓国などのアジア人に多い。杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)眼科(アイセンター)の岡田アナベルあやめ教授は「原田病は、大多数が経過は良好ですが、慢性化や合併症を避けるには、初期の段階でしっかりと治療する必要があります」と語る。
ステロイドの点滴注射で早期にしっかり治療を
▽症状や進行度に個人差
原田病は、頭痛や微熱、目の充血といった風邪のような症状や、首の痛み、耳鳴りから始まる。1週間ほどすると、目の網膜の後ろにある脈絡膜の炎症で網膜剥離が起こるため、物がゆがんで見えるようになる。岡田教授は「必ず両眼に同時期に起こるのが特徴です」と話す。3カ月以上経過すると、脈絡膜のメラニン色素を持つ細胞が脱落し、赤く透けて見える夕焼け状眼底が観察される。さらに進むと、皮膚の白い斑点や白髪などの症状が表れる。ただし、症状や進行度は個人差が大きいという。
岡田教授は「原田病には遺伝的な背景があります。日本人の約4割が保有するHLA―DR4という白血球の型を持つ人に多く、感染症のような環境要因が加わることで発症すると考えられています」と説明。メラニン色素を持つ細胞を免疫系が敵と見なして攻撃する自己免疫性疾患ともいわれているが、具体的な発症の仕組みはまだ解明されていない。
▽入院して薬を点滴投与
原田病は発症早期に脈絡膜が分厚くなるなど目に病変が表れるため、光干渉断層計による眼底の断層検査や造影検査で診断がつく。これらの検査は設備の整った眼科医院でも行うことができる。
原田病の治療では、早期にステロイドの点滴注射を集中的に行う必要がある。そのため、入院が必要となる。「ステロイドの副作用が心配なときや、治療中に再発した場合は、免疫抑制剤に切り替えます」と岡田教授。治療には1年から1年半を要するが、1999~2015年に同院で治療した原田病患者111人のうち7割以上は再発もなく、その後は経過観察だけで済んでいる。
岡田教授は「原田病は比較的メジャーな病気ですが、どのような経過をたどるかは予測ができません。早期発見、早期治療が重要です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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