感染症 家庭の医学

 細菌やウイルスなどの微生物に感染して発病する病気です。感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期)や、人にうつす可能性のある期間を知っておくことは、病気の予防や、ほかの人に病気をうつさないために大切です。
 検査は、細菌感染では培養検査により、原因菌を同定します。ウイルス感染ではウイルスの分離は煩雑で時間もかかるため、血液検査で抗体価(微生物が感染すると、体内に微生物を攻撃するそれぞれに特有な抗体というたんぱく質が産生される)を測定し、抗体価の上昇によって感染を証明します。溶連菌、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、RSウイルスなどでは迅速抗原検査により、短時間で微生物の存在を確認することができます。また、微生物の遺伝子の一部を増幅させて検査するPCR法を用いた感度の高い検査法も始まっています。
 治療は、細菌感染には抗菌薬を用います。ウイルス感染には抗菌薬は無効です。一部の病気の原因となるウイルスを除いてウイルスを攻撃する薬はないので、症状をやわらげる治療(対症療法)が中心となります。また、病気によっては予防接種で積極的に予防することができます。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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