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若年者が遠くから近くまで、見ようとする物に焦点を合わせることができるのは、目の水晶体の厚みが自在に変化するからだ。しかし、加齢により水晶体が弾力を失って厚みが増さなくなると、近くが見えにくくなる。「40歳を過ぎてスマホが見づらくなれば、ほぼ老眼です。老眼鏡を掛けずに無理をしていると、眼精疲労や頭痛などの体調不良につながります」とふじもと眼科(兵庫県西宮市)の藤本竜太郎院長は注意を促す。
スマホが見づらくなったら老眼のサインかも
▽近眼でも老眼に
水晶体は、近くの物を見るときには屈折力が大きくなるよう膨らんで厚みを増し、網膜上に焦点が合うように調整している。若い人は水晶体が軟らかく、スムーズに厚みを変えられるが、年と共に水晶体は硬くなり、近くに焦点を合わせようとしても膨らみにくくなる。網膜に焦点が合わないと、ぼやけて見える。
「読書距離といって、目から手元までの距離が25~40センチの所で焦点が合いにくいようなら老眼です。近眼の人は裸眼で手元が見えるため老眼にならないと誤解されますが、試しに遠くがよく見える眼鏡で近くを見るとぼやけるので老眼を自覚できます」と藤本院長。また、若い人でも長時間スマホに集中すれば、厚くなった水晶体がスムーズに元の薄い状態には戻らなくなり、一時的に遠くが見えづらくなる。いわゆるスマホ老眼だ。
▽老眼鏡作成前に検眼を
老眼は誰にでも起こり得る目の老化現象だが、藤本院長によると自覚していない人も多いという。「目が疲れる、頭が痛いと訴えて受診する患者の検眼を行うと、老眼が原因と考えられることが多いのです」。手元が見づらくても我慢していたり、100円ショップなどで買った眼鏡を掛けたりしてしのいでいる人もいる。
老眼の治療は、その人に合った老眼鏡を掛けること。最近話題のルーペは、中身は老眼鏡と同様で、老眼鏡と同じように手元に焦点が合う上に、拡大して見える。読書距離に応じて設定が数種類あり、自身の生活スタイルに合わせて選ぶことができる。
以前から眼鏡を掛けている人なら、遠近両用眼鏡への移行を藤本院長は勧める。1枚のレンズの上部に遠くを見るレンズが、下部に近くを見るレンズが入っていて、視線を上下に動かすことにより遠くも近くも見える。
「老眼を自覚する40代後半の早い時点で遠近両用眼鏡を使用するのがよいでしょう。レンズの設計上、近くを見やすくすればレンズの下方の両側に生じるゆがみがひどくなり、足元がぼやけて見えるので、老眼が軽い時期から慣れておくことが大切です」
気を付けたいのは眼鏡を作る手順だ。自分に合う適切な眼鏡を処方してもらうには、眼科での検眼が大事だ。藤本院長は「眼鏡店は眼科医の処方箋に基づき眼鏡を作成します。眼科を受診し、自分の生活パターンに合った眼鏡を決定するために医師と相談してください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/12/31 08:00)
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