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日本人女性の11人に1人が罹患(りかん)する乳がん。早期発見で治癒が期待できることから、検診の重要性が指摘されている。では、何歳から、どのような検診を受ければいいのか。国立がん研究センター(東京都中央区)社会と健康研究センター検診研究部の中山富雄部長に聞いた。
▽40歳以上で2年に1回
乳がん検診には、乳房専用の装置でエックス線撮影をするマンモグラフィー、乳房に超音波を当てて画像を観察するエコー、医師による視触診などがある。国の指針では40歳以上の女性に2年に1回、マンモグラフィーを行うとされている。
乳がん検診の効果は、受診者を10年またはそれ以上追跡し、非受診者と比べて乳がんによる死亡が減少したかどうかで判断している。海外の研究結果を総合すると、40~74歳を対象にマンモグラフィーを行った場合、死亡率が25%減少した。40~64歳にマンモグラフィーと視触診の両方を行う方法でも、13%の死亡率減少効果がある。超音波検査については国内で研究が進んでいるが、現時点では死亡率減少効果のデータは得られていない。
数値から分かるように、検診が乳がんによる死亡を完全に防ぐものでないことは知っておきたい。40歳未満と75歳以上については「研究データがなく、乳がん検診の利益があるかどうか分からない」(中山部長)という。
一方で、検診の不利益もある。検診でがんが疑われたが、精密検査の結果は「良性のしこり」だったようなケースだ。事なきを得たとしても、結果が分かるまで本人や家族に大きな心理的負担がかかり、後々まで引きずる可能性もあるという。
もう一つは、数十年かけてゆっくり進行し、命に関わらないと思われる乳がんを検診で見つけるケース。がんの進行スピードを予測することはできないが、結果的には過剰な検査や治療につながるとも考えられる。
乳がんは、40代後半から50代前半に発症ピークがある。20~30代では比較的まれなため、この世代では検診のデメリットの方が大きいという。
▽月1回は乳房を鏡に映して
「こうしたことを理解して乳がん検診を受けましょう」と中山部長。それとともに、「自分の乳房に関心を持つことが大切です」と指摘する。「しこりを探すというよりも、月1回程度乳房を鏡に映し、硬い所や皮膚のへこみなどに注意するのです。前月に比べて変化があれば、乳腺外科を受診しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/03 08:00)
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