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スギ花粉症の治療に、アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)であるスギ花粉を含む薬剤を経口投与し、徐々に体を慣らして症状を軽減する方法が広がりつつある。口内(舌の下)に投与する「舌下免疫療法」と呼ばれる治療法で、日本医科大学付属病院(東京都文京区)耳鼻咽喉科・頭頸部外科の後藤穣准教授は「鼻水などを一時的に抑える対症療法ではなく、アレルギー反応を抑える原因療法です」と位置付ける。
▽アレルギー反応自体を抑える
スギ花粉症の治療には、くしゃみや鼻水を抑える飲み薬、鼻内に噴霧してアレルギー性の炎症を抑えるステロイド薬などが使われる。だが、これらは「痛い時に痛み止めを飲むような対症療法です」(後藤准教授)。
これに対して、アレルギー反応自体に働き掛ける原因療法が舌下免疫療法だ。口の粘膜からアレルゲンを取り込み、徐々に体を慣らしてアレルギー反応を抑える。その結果、症状が出にくくなる。
2014年に、舌下に垂らす液剤(舌下液)が初めて登場。18年6月には舌下に置く錠剤(舌下錠)も発売された。液剤には12歳未満の小児に使用できない、冷所で保存が必要といった課題があるが、錠剤はそれらを解決し、使い勝手が向上した。液剤は販売中止予定で、「これから錠剤が主流になるでしょう」(後藤准教授)。
▽治療期間は数年間
錠剤による舌下免疫療法では、患者は薬剤を舌の下に置き、1分待ってから飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。これを1日1回行う。自宅で治療ができ、開始から3~4カ月で症状の改善や対症療法薬の減少など、効果を実感するという。「少なくとも2~3年は続けましょう」と後藤准教授。治療終了後に効果が続くことも期待できる。
治療の対象は、軽症から重症までと幅広い。薬剤費は1日分が約150円(開始2週目以降)で、3割負担なら約45円となる。
舌下免疫療法では、副作用として一時的に口内の腫れなどが表れることがある。また、スギ花粉が飛散している時期は体がスギ花粉により過敏になっているため、スギ花粉が飛んでいない時期から治療を始める必要がある。
後藤准教授は「舌下免疫療法はスギ花粉症の原因療法です。軽症、重症を問わず、根本的に治したい人は一度検討してみるとよいでしょう」と話す。
舌下免疫療法について相談できる医療機関は、以下のウェブサイトで検索できる。(メディカルトリビューン=時事)
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