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40代半ばから60代にかけて増える女性の薄毛。男性に比べて患者数は少ないものの、東京医科大学病院(東京都新宿区)皮膚科の坪井良治教授は「悩みとしては女性の方が深刻です」と話す。女性の薄毛の原因や健康な髪を維持する方法などについて聞いた。
▽女性ホルモンとの関係
ホルモン分泌に影響する病気による脱毛を除いて、女性の薄毛の原因はよく分かっていない。坪井教授は「女性ホルモン減少の影響が指摘されていますが、実際には女性ホルモンを補充しても育毛効果はなく、影響は少ないとみられています」と指摘する。
「(髪の毛が生えて抜け、再び生えるまでの)ヘアサイクルは通常3~5年ですが、それが6カ月~1年ほどに短くなると毛根が小さくなってしまいます。毛根が小さくなると、毛は細く短くなり、しっかり育たないうちに抜けてしまうので、どちらも最終的に毛髪量が少なくなります」と坪井教授。
髪が細くなるもう一つの理由に同教授は「シャンプーのし過ぎによる頭皮乾燥」を挙げる。「頭皮の脂を除き過ぎると、髪が生える『土壌』の質が悪くなります。天然の保湿成分でもある脂を除去し過ぎないよう、シャンプーは週2~3回程度にしておくのがお勧めです。どうしても毎日洗いたいならお湯だけで洗髪し、トリートメントをするとよいでしょう」とアドバイスする。
鉄や亜鉛などの不足も毛髪に影響する。特にダイエット中の女性では、髪を作るもとになるたんぱく質不足の影響も考えられるという。
▽再生医療の研究も
女性の薄毛の治療法には選択肢が少なく、現在効果が認められている医薬品としては、毛根に直接作用し、毛包を活性化して血行を改善することで発毛を促す「ミノキシジル」しかない。長期的な使用が必要で効果を実感しにくいともいわれるが、使用を継続することで毛髪数は増加し、太い毛髪も多くなる。
一方、坪井教授らは現在、毛包を含む直径6ミリの頭皮を後頭部から採取し、培養して殖やした細胞を薄毛部分の真皮に注入することで、髪を太く長くする治療の研究を進めている。このほか、毛根を新たに生成させる研究も進んでおり、将来的には選択肢が増えることが期待されている。
女性の脱毛には、甲状腺の病気や膠原(こうげん)病、産後などに全体的に抜け毛が増える「休止期脱毛」もあるが、女性型脱毛症とは異なる。
坪井教授は「女性型脱毛症はまだ治療法が少ないのですが、生活習慣の見直しや薬の使い方などのアドバイスはできるので、気になる人は皮膚科専門医に相談してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/08/20 09:57)
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