出産前後でインスリン分泌細胞の数が増減する仕組みに、免疫細胞の一種「マクロファージ」が関与していることを、東北大の研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。インスリン分泌細胞の減少は糖尿病の主な発症要因となっていることから、研究グループは新たな治療法開発につながる可能性があるとしている。研究成果は16日、米科学誌に掲載された。
 血糖値を下げるインスリンは膵臓(すいぞう)にあるベータ細胞でつくられる。ベータ細胞は妊娠中に数が増え、出産後に元に戻ることが知られている。
 研究グループは、出産したマウスの膵臓内でマクロファージが増加していることに着目。顕微鏡による観察で、マクロファージがベータ細胞を食べる様子を確認した。マクロファージの働きを抑えたところ、ベータ細胞が減らずにマウスが低血糖状態になった。また、出産直前にベータ細胞から放出される物質が、血中のマクロファージを膵臓に集めることも解明した。 (C)時事通信社