治療・予防

歯周病が大腸がんと関連
治療すればリスク低下も(横浜市立大学付属病院消化器内科 吉原努医長)

 軽症も含めて国民の約80%がかかっているとされる歯周病はさまざまな病気との関係が分かっている。近年、注目されているのが大腸がんとの関係だ。歯周病が治癒すると大腸がんリスクを低下させるとする研究成果が報告されている。横浜市立大学付属病院(横浜市)消化器内科の吉原努医長に最新の事情などを聞いた。

 ▽菌が大腸がん組織に

 歯周病は糖尿病、動脈硬化性疾患、肥満、誤えん性肺炎、アルツハイマー型認知症など、多様な病気との関連が明らかにされている。がんでは主に口、喉、食道や膵臓(すいぞう)との関係が示唆されてきた。ここ10年ほどで大腸がんに関する研究が進み、重症の歯周病患者は、大腸がんの発症リスクが約2倍高くなることが分かっている。

 「きっかけは、口腔内に常に存在し、歯周病の原因となるフソバクテリウム・ヌクレアタム(以下、ヌクレアタム)という細菌が大腸がん組織で発見されたという研究成果です。その後、大腸がんに含まれるヌクレアタムの量が多い患者ほど大腸がんによる長期的な生存率が低いなど、多くのことが分かってきました」

 ▽歯周病の治療を

 吉原医師らのグループは最近、注目すべき研究成果を明らかにした。「大腸がんの患者さんの4割以上で、だ液と大腸がん組織のヌクレアタムが同一であることを報告しました。では、歯周病を治療すれば大腸がん組織のヌクレアタム量が減るのかと考え、調べたのです」と説明する。

 「その結果、歯科治療で歯周病が改善した大腸がん患者さんのグループでは、便中のヌクレアタムの量が歯科治療前に比べて明らかに減少しました。歯周病が改善しなかったグループやもともと歯周病のないグループでは変化しませんでした」

 大腸がんのリスクを高める原因については、「ヌクレアタムが宿主の炎症を引き起こしてがんの進行を促し、免疫によるがん細胞への攻撃力を弱めるといったメカニズムが考えられています」と吉原医師。

 「歯周病をきちんと治療すれば大腸内のヌクレアタム量が減り、大腸がんのリスクが低下する可能性があります。大腸がんを含むさまざまな病気の予防のためにも、歯周病の治療や口腔ケアをしっかり行いましょう」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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